Code.80 "左胸" ページ34
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ここは...
真っ白い部屋、いや、白薔薇園...?
そして、あそこに立つのは...
『お母さん...?』
薄らと輪郭が見える方へと駆け出す。
だが、走っても走っても、影は離れていく。
『ま、待って!』
その瞬間、どんと誰かにぶつかる。
『...え、』
驚いてその誰かを見上げる。
『え、なん、で、』
萩「おー!久しぶりだな、A!」
彼らの姿に、思わず言葉を失う。
私は、この前、彼らの墓参りに行った。
ということは、私は...
松「死んでないぞ」
伊「お、降谷の次はAか!」
呆然とする私をほったらかして、彼らは何やら話し始める。
待った、彼らがいるなら、"彼"もーー
『ねぇ! 景光は!? いるんでしょ!?』
「もちろん」
背後から声がして、体が動かなくなる。
恐る恐る振り向くと、彼はいつもの、目を細めた優しい笑顔で私を見つめていた。
『...ひろ、み、つ』
景「久しぶりだね、A」
ふわ、と彼の大きな手が私の頭を撫でる。
あ...
この感覚...
松「ゲッ、お前泣いてんの!?」
『あれ...』
ぽろぽろと涙が溢れて止まらない。
あぁ、私今日、泣いてばかりだ...
はは、と困ったような笑みで私を見つめる、景光の顔が歪んで見える。
『だって、ぇ、えぐっ、』
萩「ちょ、鼻水出てるwww」
ずび、と無理やりシャツの裾で、涙やら色々なものを拭えば、伊達が、がはは、とこれまたいつものように豪快に笑った。
景「A、」
ふと、彼が私の左胸に手を当てた。
『?』
すると、突然その手が輝きだし、私の体を包み込んでいく。
『わ、なに、』
景「動かないで。」
にっこりと笑った彼は、私の瞳に に優しく手を当てて、視線を遮る。
視線が遮られて、何も見えない。
でも、左胸がぽかぽかして、とても心地よかった。
景「さぁ、目を開けて、」
彼の手が離れて、視界が開ける。
『...あ、』
いつの間にか、血だらけのシャツは、青色の"それ"に変わっていた。
伊「A、俺たちの分まで、警察官頑張るんだぞ!」
『伊達、』
萩「日本をお前に頼んだぞ、A...」
『萩原、』
松「ったく、泣き虫だな、お前も」
『松田...』
当たりが真っ白い光に包まれて、彼らの姿が段々と見えなくなっていく。
『待って、ーー』
景「A、君はまだこちら側に来てはいけない。」
『待って、寂しいよ、やっぱり行かないで、』
景「大丈夫、ゼロがいる。ゼロが君を守ってくれる。だから...」
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はな(プロフ) - にぃーさん» ありがとうございます!励みになります(;_;) (2019年11月8日 19時) (レス) id: 7c73f8d369 (このIDを非表示/違反報告)
にぃー - ほんまに早く読みたい!めちゃおもしろいです更新楽しみにしてます! (2019年11月4日 19時) (レス) id: def134aac7 (このIDを非表示/違反報告)
純花 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2019年10月19日 19時) (レス) id: ba5f7bf38b (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月19日 16時) (レス) id: c80821aeaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2019年9月6日 11時