【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.8 "降谷零と安室透" ページ9

バーボンside

"バーボン、あなたの任務は無事にマリーを回収すること"

バ「はぁ...」

耳につけたイヤホンからは何も聞こえない。

なぜAがハニートラップなんて...

大体Aは口悪いし、気が強いし...もっと適役はいたはずだろう。

いや待て。
これじゃ俺がA...マリーにハニートラップして欲しくないみたいじゃいか。違う、あいつがどうなろうと、俺は知らな...

"零!!"

Aの笑顔がハッキリと目に浮かぶ。
いや、僕は、Aが...

「お兄さん...?」

我に返ると、怪訝そうな顔をした女性がグラスを手に持ち、立っていた。

バ「すいません...」
「いえいえ、いいのよ。あなた何だか疲れてるみたいだわ。私の部屋でひと休みしない?」

そうして彼女はちらり、と胸元のドレスをめくる。

そうだ。
今は降谷零ではなく、安室透...バーボンの時間。

降谷零が好きなのは、A...
今はそんなことを考えている時間ではないのだ。

バ「すみません、生憎仕事中ですので。また今度お願いします、お嬢様」

彼女の手に軽くキスをして、彼女の顔色をちらりと窺う。

...こんなものか。

バ「失礼します」

好きではない人に触れるのは、こんなにも虚しいものなのかー

『こちらマリー、対象に接触成功、25階のスイートへ向かう。これから盗聴器のスイッチを入れるから、あとは頼んだ』

.


.


.


「君、ほんと可愛いね。ぜひ僕の専属の秘書になって欲しいくらいだよ」

するり、と太ももに手が伸びる。
気持ち悪い。

『私なんかよりも、もっと綺麗な女性はいらしたのに...』

標的の好みのタイプは一言で言えば"ウブな"女性。オッサンがいい趣味してるわ。

心の中で悪態をつきながら、恥ずかしそうに下を向く。チョロい。

エレベーターに乗り込む。
よし、このまま25階のスイートに...

ﾋﾟｯ

なに、

『ねぇねぇ、私、綺麗な夜景が見たいなぁ』
「あぁ、ごめんね。本当は25階のスイートを使いたかったんだけど、狙撃されちゃうかもしれないから。ごめんね〜」

マズい。

このままだと、標的の抹殺はおろか、脱出すら危うい。

生憎ベレッタはバーボンに預けたまま...
クソ、積みか

エレベーターが地下2階に到着する。

『うーん、私やっぱり怖くなっちゃった』
「え?あぁ、」
頬に触れられる。
ちょうど零が手当してくれた辺りだ。

「大丈夫だよ。安心して」

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