【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

Code.42 "誕生日" ページ43

"Sherry"

零も厄介な仕事を引き受けてしまったもんだ。

暗い部屋の中、零から渡されたNOCリストのデータを眺め、グラスに入ったスコッチ・ウイスキーを煽る。

さすが公安、すばらしい情報収集能力だ。


グラスにスコッチを注ぐ。


酔えない。


あれからどれだけ飲んでも酔えない。
もともと酒は強い方だが、これは異常だ。

『ひろみつ、』

彼の名を口に出し、後悔する。
もう、届くわけないのにな。

ﾌﾞｰｯ

スマホが着信を知らせる。
ジン...

『はい。』
ジ「マリー聞け、良い報せだ」


「赤井秀一を殺った」


ライを?

『一体誰が、』
ジ「キールだ」

KIR...!

パソコンの前に走り、先程のNOCリストを上から下までスクロールする。

やっぱりあった。所属は......CIA!?


『それ、ほんとなの?』

おかしい。
いくらNOCであることを隠すためとはいえ、自国の諜報員同士で撃ち合うなんて。

ジ「あぁ。この目で見たからな。"良い誕生日"になったよ」
『...そう』

スコッチ・ウイスキーの入ったグラスをからん、と傾ける。

ジ「俺はアメリカに行く。また連絡するぞ」
『了解、じゃあ。』

通話を終えて、スマホの画面を下にしてテーブルに置き、グラスの中身を一気に飲み干す。

"大丈夫だ。俺は居なくならない。信じろ"

数日前のあの言葉...
何か策があっての言葉なのか、それともただの強がりか。

恐らく、彼なら前者。

『調べてみる必要があるな。』

そうして沢山の戸籍資料のプリント一通り眺め、1枚を覗いてシュレッダーにかける。

そして、その1枚は...


"黒澤陣"


今日が誕生日、か。


『...お誕生日おめでとう、ジン』


.




.




.




.




.






最後に零のカレーを食べて、半年ほど経った頃...


『キャンティ、撤退するよ』
キ「あいよ」

ライフルバックを背負って、彼女が返事をする。

キ「マリー、あんた今日でアメリカでの任務最後なんだろ?」
『最後っていうか、日本に帰るだけだよ』
キ「ふぅん、そうかい」

キャンティがもじもじと何かを言いたげな様子で口ごもる。

『な、なに?』
キ「あぁ、いや、」
『...もしかして、寂しいの?』

アメリカにいる間、ずっとキャンティと一緒に行動してたからなぁ

キ「き、気をつけて帰るんだよ!」
『うん、キャンティも気をつけてね。日本に来たら、いっしょにお寿司でも食べに行こうか』
キ「...! もっちろん!」

彼女にひらひらと手を振る。



さぁ、帰ろうか...


私たちの、愛すべきあの国へ

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