【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.34 "Gin.K" ページ35

"愛するこの日本という国のためなら、私は人も殺める"

そんな信念が音を立てて崩れ落ちてゆくのが分かった。

ジ「...チッ」

ジンがポケットから白いハンカチを取り出し、私に渡す。

ジ「使え」

ジンがそれを手渡した瞬間、自分が泣いているのが分かった。

ジ「そんなもんだよ」
『え?』

ジンの言葉に顔を上げて、彼の目を見る。

ジ「自分が何の為にそこにいるのか、ぱっと答えられるやつなんて、ほんのひと握りだ。実際、俺にも自分が何をやりたいのか分からなくなる時がある。」

ジンがクラスを煽り、全て流し込む。

ジ「まぁ、お前は若い。考える時間は沢山あるさ。俺が死ぬまでに、その答えを出してみせることだな。」

そうして彼は薄く笑った。

ジ「まぁ、お前が本当にNOCだったら、今すぐ躊躇なく殺すけどな」
『あら、怖いわ』

最後に物騒な言葉を振りまき、1万円札をテーブルに置くと、彼は店を出ていった。

何の為、か...

彼から貰った白いハンカチを見つめる。
それには、水色の糸の刺繍で"Gin.K"と書かれていた。

『...まさか、』

通常、名前の後に来るのはイニシャル、だとすると、ジンの苗字はKから始まる文字...

スマホを取り出し、彼に電話をする。

「...はい」
『夜分遅くにごめんね。風見、ちょっとお願いがあるの』
風「なんでしょう」

眠そうな声で彼が答える。

『日本国籍で、名前が"じん"、苗字が"K"から始まる男性のリストを作ってくれる?』
風「え、そんなの何人いるか、」
『いいから。風見はリストを作るだけでいいわ。』
風「わ、分かりました。でも、Aさん、何の為にそんなの...」
『ジンよ』
風「え?」

『ジンの身元を、特定しようと思うの』

風見が絶句したように電話先で黙る。

風「あなた、殺されますよ?」
『ふふ、今更何を。死んだら死んだ時、風見に全ての仕事を押し付けるだけ』
風「えぇ、勘弁してくださいよ...」

本当に怠そうな声を出した彼に、思わず笑みが漏れる。


『頼んだわよ、風見』


そう言って、通話を終わらせる。

"何の為"

そう、私はこの愛する日本の為に、組織をー



殺してみせよう






.




.





.



ジ「早くしろよ」
『分かってる...何かあったの?』

電話先でも分かるほど苛立っている彼に尋ねる。

ジ「シェリーが逃げた」
『シェリーって?』
ジ「お前が以前一緒に買い物に行った、宮野明美の妹だ」

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