code.27 "微睡み" ページ28
落ち着かない。
風見裕也はキーボードを叩く手を止め、彼女の方をちらりと見た。
彼女は安心したようにすやすやと眠り、一向に目を覚ます様子はなかった。
『ん...』
ビクゥ
普段からかっこよくて尊敬する上司のこんな姿を見るなんて。
無理です、降谷さん。
『うぅ...』
風「えっ、」
急に呻き声をあげ始めた彼女に戸惑う。
風「Aさーー」
『...みつ』
風「えっ」
『ひろみつ、おいてかない、で...』
風「Aさん...」
静かに彼女の方のソファに近寄り、涙を指ですくう
いくら平気そうにしていても、きっと本心はズタズタなのだ。
風「あなたも、降谷さんも、隠すのうますぎるんですよ。」
彼女の手をそっと握る。
意外とその手は小さかった。
一体これから、彼女はどうなってしまうのだろうか。
先の見えない不安の中、風見はそっと重い瞼を閉じた。
.
.
.
誰かが私の手を握ってくれている。
そんな暖かい感触がした。
『...ん?え、なに』
目を開けると目の前には、私の手を握ったまま、眠りこけている風見がいて、一瞬で目が覚める。
『え、うそ、もしかして私、寝惚けて、』
やばい。
一瞬で顔が熱くなる。
いくら寝ぼけていたとはいえ、これは恥ずかしい
慌てて手を話そうとするが、彼は離すまいとぎゅっと手を握った。
『ちょ、風見、』
風「うーん...」
どうやら彼も寝ぼけているらしい
『か、風見!起きろ!』
風「ん?ふりゅやさ...あ、いや、これは」
慌てて彼が手を離す。
いい大人2人が、一体何をやっているんだ。
『あの...ごめん、私が離さなかったんだよね...恥ずかし...ごめん...』
風「あ、いえ、自分から握ったんです。Aさん、うなされてたから...」
『え、風見が?』
風「あっ、えと、」
焦ったように風見が頭をかく。
風「ほんと俺なんかが、すみません。」
じゃあ、あれは...
『ううん、』
『なんかね、何となく記憶あるの』
風「えっ、」
途端に風見が焦る。
『景光が、遠くに行っちゃう夢見てて、怖くて、すごく泣いてて。でも、そんな時、私の手を誰かが握ってくれたの。すごく暖かくて、優しくて、幸せだった。』
そこまで言って、ハッとする。
『...今の忘れて』
逃げるようにスマホを手に取り、時刻を確認する。
午後6時。
うわ、意外と寝たなぁ。
『風見、ご飯食べていきな』
風「えっ、いいですよ」
『いいから。さっきのお礼よ』
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iwa(プロフ) - ひろみつくん救済したかった。話変わってしまいますが。でも、これからどんどん引き込まれてよんでいきます。 (2020年3月13日 13時) (レス) id: d46b647962 (このIDを非表示/違反報告)
ベス - エリザベス女王は本当は女王になる予定ではなかったんです。男の子が亡くなり、姉のメアリーも卵巣がんで子供は出来ず想像妊娠となったんですよね。ターンリー卿の暗殺も偽造で無実だったんです。調べてみるとまた違う形が見えてくるかもですよo( ^_^ )o (2019年6月26日 22時) (レス) id: e7c063a61b (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ベスさん» わぁ、すご...ほんと勉強になります!まだまだ知らないこといっぱいなので、私も調べてみようかな...(..) (2019年6月26日 18時) (レス) id: 476e83acac (このIDを非表示/違反報告)
ベス - 私、メアリー好きなんですよね…ちなみにエリザベスのお母さんのアン・ブーリンの妹もメアリー、エリザベスの異父姉もメアリーの名前ですね。愛され知らずのメアリーがどうしようもないフェリペを好きでその人の為に動いてしまう所も好きですね!♪♪ (2019年6月24日 21時) (レス) id: 137d2adbf4 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ベスさん» 凄い、私もそこまで知りませんでした!そうみたいですね、勉強になりました!ありがとうございます〜( *˙˙*) (2019年6月24日 7時) (レス) id: 476e83acac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2019年6月12日 8時