【名探偵コナン】BloodyMary【黒の組織】

code.31 "くれてやる" ページ32

"そして、その次はAかもしれない"

1か月前のバーボンーー零が言い放った言葉。
確かに、短い期間ではあったが、任務を共にした回数の多く、まぁまぁ親しかった私達が疑われるのは、時間の問題だろう。

『カウント、3.2.1.』


ﾊﾟｼｭ


『...お見事』

標的を射止めるとすぐ、彼はいつもと同じように、すぐに無言でライフルを片付け始めた。

『ねぇ、ライ』

彼が振り向く。

『あんたが殺ったんでしょ?あの"スコッチ"って男』
ラ「まぁ、そうだが...正確には違う」
『え?』

ライがライフルを片付ける手を止めずに話し続ける。

ラ「あいつは最後、自害したんだ。胸ポケットに入っていた携帯電話を撃ち抜いてな。おかげで奴の情報は何も得られなかった。幽霊を殺したようで気味が悪いよ...」
『ふーん、そう』

やっぱり。なにか違和感がある。

『ねぇ、ライ、あなた私に嘘ついてない?』
ラ「何もついていないが?」
『そう...』

ライフルバックを背負い、ライが歩き始める。

ラ「あぁ、そうだ」
『?』


ラ「最近NOCだと疑われて殺される奴が多いらしい。お前も気をつけろよ」


まさか、私、NOCだとバレてーー


ラ「まぁ、お前は確実にNOCじゃないから関係ないけどな」


なかった...


ライがいつもの様に風下で煙草に火をつける。
そういえば、最後に会った日の景光、煙草の匂いしたな。

『...1本もらえる?』
ラ「ほお、珍しいな。煙草は嫌いじゃなかったのか?」
『嫌いよ。けれど、好きな人が吸ってたから、どんな味か確かめてみようと思ったのよ』

そう言うと、ライは一瞬ぽかんとした顔をした後、薄く笑って煙草の箱を渡した。

ラ「これはお前に全部くれてやる...」

.






.




.


3ヶ月後

ベ「聞いた?マリー」
『ん?』

海風で金色の髪を揺らしながらバイクの横でスマホをいじる彼女の顔を見る。

ベ「あなたとよく任務に行ってた、あのライって男」
『ライが、どうかしたの?』
ベ「これよ、こぉれ」

そうして彼女は、バイクのメーターのガラスをこんこん、と2度叩いた。

『え...!?』
ベ「全く。最近鼠が多くて困っちゃうわねぇ。」

嘘、ライがノックだなんて、嘘だ



"最近NOCだと疑われて殺される奴が多いらしい。お前も気をつけろよ"



まさか、自分がNOCだったから、あんな言葉を...?

ライが目を閉じて横たわる姿が目に浮かぶ。
彼の長い黒髪を濡らす、真っ赤な血溜り

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