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志麻セン もう一度だけ、最後に。 うさぎ。 ページ38

志麻くんと付き合い始めて一年が過ぎた。
今日はクリスマスで、僕は志麻くんの家に来ている。
いつもと同じように二人でゲームをして、アニメを見て。
普通の恋人...なんだと思う。


志麻くんの様子がおかしいと思ったのは、半年ぐらい前。
志麻くんの目が僕を見ていない。
僕を通して、別の誰かを見ている気がする。
それに気づいてから志麻くんに聞いてみた。
「僕のこと好き?」って。
志麻くんは驚いたように目を見開いて、それから優しく笑って、
「好きだよ」と言った。
やっぱり志麻くんの目は違う方を見ていたけど、それには見て見ぬフリをした。

「なぁ、センラさん。ちょっと大事な話してもいい?」

志麻くんの声で現実に引き戻された。
大事な話...

「分かりました」

志麻くんの前に座って、話を聞く姿勢にする。

「...俺はもうセンラさんのこと好きじゃないんだ、多分」

気付いてたよ、半年前から。

「前から知ってたよ。志麻くんが他の人を見てることとか、全部」

不思議と涙は出てこなかった。こうなる展開を分かっていたんだと思う。
志麻くんはやっぱり優しく笑って、

「そっか...お互い見て見ぬフリしてたんやな、俺ら」

その後、自分を卑下するように、ほんとにバカだと一言付け足した。
その通りだと思う。僕らは最初からお互いのことを好きではなかった。
ただ、寂しさを埋めるだけの都合のいい関係。

......ほんとにバカだ。


「じゃあ、今日で俺らの関係は終わり。幸せになってね、センラさん」

今日で見るのは最期であろう志麻くんの顔は今まで見た中で一番優しくて、忘れられそうになかった。

志麻くんの家を出るとき、僕らはどちらからともなく触れるだけの優しいキスをした。



もうそれも二年前の話。でも毎年この季節になると思い出してしまう。
彼は幸せになっているだろうか。
確か、彼が僕に言った最後の言葉は、

「忘れ物はない?」

だった。

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Liar.@天性の変態(プロフ) - 眠猫さん» 了解です!シチュエーションの希望はありますか? (2020年9月25日 16時) (レス) id: 944e081d1c (このIDを非表示/違反報告)
眠猫(プロフ) - まふ(受)キヨ(攻)って行けますかね? (2020年8月27日 0時) (レス) id: 290d396106 (このIDを非表示/違反報告)
雪の飴(プロフ) - 小森ワールド@綺羅さん» ちなみにシチュエーションの希望とかありますか? (2020年4月14日 2時) (レス) id: de84b9fca4 (このIDを非表示/違反報告)
雪の飴(プロフ) - 小森ワールド@綺羅さん» 了解です! (2020年4月5日 22時) (レス) id: de84b9fca4 (このIDを非表示/違反報告)
小森ワールド@綺羅 - キヨ(攻)さかたん(受)でお願いします! (2020年4月4日 23時) (レス) id: bd82defe4a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪の飴 x他1人 | 作成日時:2018年12月20日 19時

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