2人だけの丁子 ページ44
そして始まった男子リレー。凛はアンカーの様で、手首と足首をブラブラさせてウォーミングアップをしているようだった。
「何しても様になるなぁ」
隣で呟く結月に何度も頷く。
少し前かがみになるとさらりと揺れる前髪も、他の男子よりも群を抜いて高い背も、全てが格好良くて、きっとあの日出会っていなければ関わることもできない程遠い存在だったのだろうと感じる。
高一に見えないだとか、3年の男子より大人っぽいだとか、後ろから聞こえるガヤに何故か私が得意気になる。
人気だなーと笑う結月に、私は凛の友達だけれどねと悪戯に微笑んで見せるとAも強くなったねえと頭を撫でられた。
そうこうしている内に私たちのクラスの一走者目がバトンを渡した。
私たちのクラス女子男子どっちも1位じゃない！？と興奮した結月を落ち着かせる。
＿＿＿どうしよう、複雑。クラスが1位になれば勿論嬉しいけれど、私の本心は凛が1位で走る姿が見たい。
ああ、凛と同じクラスの女の子が羨ましい。なんの葛藤もなく凛へ声援を贈れるなんて羨ましすぎる。
四組は3位、ここからの挽回なんて凛でも難しい気がするけれど、凛ならきっとやってのけて見せるだろう。
そしていよいよ、徐々に四組が2位に追いついたところで凛にバトンが回った。
凛が走り出した瞬間2位なんて簡単に抜き、女の子達から黄色い歓声が沸く。
1位との差をぐんぐんと縮める姿に私は今にも胸を抑えて倒れるのでは無いかと思うほど心臓が脈打っていた。
私のクラス、このままいけば1位、1位…1位……、
結月が一組いけー！と叫ぶ隣で私は呟いた。
「結月ごめん」
「え？」
私に顔を向けた結月を横目に、メガホンを構える。
「＿＿頑張れっ！」
私の声は、自分でも分かる程周りに掻き消されてしまった。
それなのに、凛は先程よりも加速した様に見えて、一瞬私と目が合った顔は口角が上がっている様にすら見えた。
全く自意識過剰な男だ。凛、なんて一言も言っていないのに。
どうして伝わったの。
私のクラスをゴール前ギリギリで追い抜かし、1位でゴールした後に私に向かってピースを作る凛。
手はピースの形なのにあまりにも真顔なのが可笑しくて、沢山いる中で私に向かってしてくれたのが嬉しくて、メガホンを握る手に力が篭った。
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
