知ってくれた蜜柑 ページ43
一組、更に加速しました！四組は1位との距離が縮まらない！
ああ、なんて素晴らしいアナウンスをするのだろうか。頬を斬る風も、周りのノイズも、全て気持ちよく感じる。
「お願いします！」
私の力の限りを振り絞って駆け上がり、同じクラスの女の子に1位のままバトンを渡すことが出来た。
「え！あ、うん！」
全く関わりのない子だったけれど、私が声を掛けたのが意外だったのか、少し驚きながらも返事をしてくれた。
Aお疲れ〜と手を翳した結月にハイタッチをして今の順位を見る。どうやら私の次の女の子は陸上部だったようで2位との差を広げていく。
今の結果も私が繋いだのだと思うと嬉しくなった。
凛を見ると、走っている人を応援するわけでもなく私を見ていたのでドキリと胸がなる。
今の最高に上がった気分を凛に共有したくて、小さくピースをしておいた。
＿＿＿「Aちゃんって運動できるんだね〜｣
開いた差が縮まる漫画の様な展開などなく、私たちは圧倒的1位という結果を残した。
結月と観戦席に戻っていると私の次に走った女の子から話しかけられた。私はかなり驚いて戸惑ったが、隣の結月はなんだか嬉しそうな様子だった。
「なんか、Aちゃんって怖い人だと思ってたよー。声掛けられた時はびっくりした」
えへへと笑う女の子に結月がでしょう〜と肩に手を置く。
A良い奴なのー！と目を押える結月にはいはいと呆れて居ると女の子があっと思い出したかの様に声をあげた。
｢そういえば次、1年男子のリレーだよ。糸師くん出るって聞いた！｣
Aちゃんは応援しなきゃね、と私に両手でガッツポーズを作って友達の輪へ戻って行った。
「Aのこと、分かってくれる人が1人増えたね。」
ま、私が1番目なのには変わりないけど、と言いつつ嬉しそうな結月にお礼を言って戻る。
＿凛、リレーに出るんだ。先程凛に助けて貰ったのだから私も凛の力になれると良いのだけれど…。
観客席へ戻り、壊されてしまったメガホンを膝に置く。
＿借り物競争から帰ってきて結月にメガホンのことを謝ると、Aが悪いわけじゃないしと言って励ましてくれたけれど、正直私は悲しかった。
メガホンを見る度に胸が痛くなっていたからこそ、結月の明るさには救われる。いつも。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 421人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
