俺を映す瞳＿曇 ページ3
Aと歩く時間は多分沈黙の方が多かったけど、お互いに喋らなくても居心地よく感じていたと思う。少なくとも俺は。
ふとした時にAが呼んだ俺の苗字に、兄ちゃんを思い出した。
そこからはほぼ強制的にAに俺の名前を呼ばせた。
泣きそうな真っ赤な顔で俺の名前を呼んだAが頭から離れなくてそれ以上のことはあまり覚えてない。
家まで送って、ドアを閉じる時に小さく振られた手に俺は自分の心臓がキュッと縮むような感覚を覚えた。
少し距離が近付いたかもしれないと、ほんの少し心が弾んだ。
だから、ショックだったんだよ。
「向こうから一方的に？」
階段を上って廊下を歩いているとどこかで聞いたような声が聞こえた。
「そ、だけど、それは」
＿＿Aだ。
昨日よく聞いた声に少し足が早まる。
ちょっとまってと大きな女の声が廊下まで聞こえて、視界にAが立っているのが見えた。
話しかけようと1歩を踏み出した時、聞こえて来たのは俺の名前で
聞いていると俺の話をしているみたいだった。
「あくまでも向こうから一方的に話しかけられただけで、友達ではないんだ！」
女の声に何も言い返さないA
俺はそれに苛立ちを覚えた。
俺の事迷惑だったなら、近付いた時にすぐ突き飛ばせば良かったのに。
家に入る時、手なんか振んなよ。
俺は、お前と少し仲良くなれたような気がしたのに。
気づけば「そうかよ」と口から漏れるような、力強いような、そんな声で俺はAにそう言っていた。
俺に振り向いたAは、驚きと罪悪感に苛まれた顔をしていた。
俺が去ると昨日の女が追いかけてきた。
サッカー部のマネージャーになったとか今日の部活はコートを使うとかそんな話をされた。
それ所じゃない俺は「そうか」としか言わないまま自分のクラスへと足を早めた。
クラスに着いても粘って続けようとする女に俺はうるせぇといい加減話を切ろうとした。
ぐいっと袖を引かれ、驚いて振り向くとAが立っていた。
泣きそうな目で俺を見つめるAに、俺も目を逸らせなかった。
誤解だ、本当は嬉しかった、離れたくない、
並べられた言葉に俺は酷く救われて。
自分はおかしいかと俺に問うAにおかしくないと答えるつもりが、俺の体は追いついていなかった。いや、俺の思考が追いついていなかった。
俺は、周りの目も気にせずAを抱きしめていたんだ。
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名無し(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます。意外と凛視点が需要あるようで良かったです。これからも応援して頂けると幸いです^^* (2023年1月30日 16時) (
レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - するめさん» するめさん、続編の方にもコメント頂けて嬉しいです。いつも応援本当にありがとうございます。凛視点はいずれ書きたいと思っていましたが想像よりも長くなってしまいそうです（笑） (2023年1月30日 16時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 初コメ失礼します！凛視点めちゃくちゃ好きです！！最後まで応援します！ (2023年1月30日 9時) (レス) @page2 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
するめ(プロフ) - 続編おめでとうございます〜!!凛視点めちゃくちゃ最高です、、、このお話ほんとに大好きです! (2023年1月30日 5時) (レス) id: 85ee5a5c1b (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - お酢雨さん» ご指摘ありがとうございます。修正いたしました( _ _ ) (2023年1月29日 22時) (レス) id: c37b14cb77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無し | 作成日時：2023年1月29日 20時
