ずるいです、先輩。【二子一揮】

02:好きな人の話 ページ2

あっという間に時は流れて、Aさんと約束のイベントの日当日となった。





楽しみだという幸福感から昨日はぐっすり眠れた。





待ち合わせの時間20分前に到着し、僕はSNSを確認。





｢あれ、二子くん待った！？｣





5分もしないくらいでAさんが僕の横に走ってきて、前髪が乱れているのが可愛い。





｢今来たところですよ｣





｢良かった！いこっか！｣





お化粧のおかげで普段学校でのAさんとは少し違って、綺麗だ。そんな彼女に見惚れていると、彼女は｢なあに｣と優しい声で微笑む。





僕は横に首を振り、歩き始めてすぐにAさんは僕に質問を投げかけた。





｢二子くんってさ、好きな子いるの？｣





｢え｣





｢ほら、1年生可愛い女の子多いから｣





｢ほう……｣





｢Aは、二子くんみたいな男の子好きだな〜｣





｢……っ！！｣





ずるい、ずるすぎる。

僕がAさんのことが気になっていること、気付いててこのセリフを吐いているのだとしたら小悪魔だと呼んでやる。





｢二子くん？｣





｢……いませんよ｣





｢えーそうなの！って二子くん顔真っ赤じゃん！かーわいっ｣





Aさんは僕の顔を覗き込んでは、無邪気な笑顔を見せた。





｢いこっ！｣





｢……へっ？｣





そしてAさんは僕の手を引いて歩き出した。

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