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五十七話 ページ37

続き___

Kr「…………ぇ」

「昔、らっだぁがね友達を呼んで遊んでいたのさ。その時に、らっだぁが此方に気付き、走り寄ってきてこう言ったんだ。

「Aを一緒に連れていっても良い?」

とな。
その時は、我々二人も傍にいたから許可を出したのだ。

あれは___Aが3歳の時だったな。もう立ったり走ったり出来るようになっていたのさ。とても優秀な子だった。

あ。勿論、らっだぁだって優秀だ。
確か……Aを含め、7人で遊んでいたな。とても楽しそうだったよ。らっだぁがあんなにも生き生きしていたのはあれが初めてだったな。

その前は物凄くつまんなそうだったからな。我々は心底嬉しかった。

暫くして皆で走ろうとしていたのだよ。ほら。今では追いかけっこや鬼ごっこと言うだろう?それと同じさ。

それで、らっだぁとAは一緒に走ってたのさ。
……走っていたまでは良かったのだがな……。」

顔をちらっと見てみれば、物凄く辛そうな、悲しそうなそんな顔をしていた。

Kr「別に無理して話そうとしなくても……」
「いや……話させてくれ……。」
Kr「……。」

何も言葉がでない。思い付かなかった。
俺はこれ以上言うことが出来ず、黙ってまた話を聞く。

「それでな。Aが躓いたのだ。此方からすれば転けるのは当たり前だったから気にしなかったのだ。

だが、その時のらっだぁの顔を見れば、真っ青。しかも目に光などなくAを抱えて、此方に急いできた。

「パパ!Aが……Aがぁ……!」

と言い、目に涙を浮かべていた。何事かと思えば……Aの息が止まっていたのだよ。
私は大急ぎで医者を呼んだのさ。」
Kr「その医者が……W国のしんぺいさん。」
「その通り。あのときの息子の顔は今でも覚えているさ。」
Kr「どのような顔で……?」
「……今と変わらないさ。もう何も考えない。考えたくない様な無の表情だったよ。Aが一命をとりとめたが、らっだぁは、ずっと自分を責め続けていた。

「僕が……僕が……!」

と。
Aはな。それからと言うもの、体が元々弱かったと分かった。だからな。またあのときのようなことがもう二度と起こって欲しくなくてな。
たかが転んだだけなのにな。」

ははっと笑う。
……そうだったのか。昔の事を今でも引きずっているんだ。
もう前みたいに起こって欲しくないからAを外に出すのを拒んでいたんだ。




もう二度と同じようなことが起こらないように、自分なりに考えていたんだ……。

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梨乃(プロフ) - コメント有難うございます!確かにそうですねw自分で読み返してもそう思いましたw←うん。直せや。 (2019年9月7日 9時) (レス) id: 9bf702873d (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん - たまーにシャークんが関西弁になるからゾムさんと間違えるwww (2019年9月6日 20時) (レス) id: f2b8765d0a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨乃 | 作成日時:2019年8月31日 12時

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