1-2 ページ10
次の日から授業が始まった。午前は基礎科目、午後はヒーロー基礎学だった。その初めての基礎学は戦闘訓練でヒーローとヴィラン組に別れて核を取り合う授業が行われた。
「狐葉さん」
「はい」
「私の個性は創造です。狐葉さんは狐でしたよね？」
Aのペアは推薦でこの学校に入った八百万 百で身体の肌からものを作るらしい。ふたりはヒーロー役でビルの中にいるヴィラン役の二人を掻い潜り核に触るのが勝利条件である
逆にヴィラン側はヒーローを拘束したことを表すテープを巻き付ければ勝ちである。
「まず、相手の個性を知らなくては」
「百ちゃんは、何か分かる？」
「百ちゃ…こほん。はい、わかりますわ」
そこから、さすが推薦枠とでもいうようにすらすらと作戦が立てられて行った。Aもそれに賛同し、ついに授業が始まった。色々な場所に仕掛けてあるトラップを抜け、百の立てた作戦とおりに事は進み見事にヒーロー側が勝利を納めた。
「百ちゃんありがとう。」
「こちらこそ！狐葉さんでなければできなかったわ」
「えへへ、そう言ってくれたら嬉しいな」
百はAの狐の個性の新しい使い方を見いだしてくれた。今までは燃やすだけだった狐の火に陽炎とともに出現させることで幻覚のようなものが見えるのだ。火にはたくさんの使い方があり、まだまだ、勉強も柔軟性も足りないなと反省してAの雄英高校１日目は終わりを告げようとしていた。
「Aっちすごいね！あ、あたし、みなっていうの！」
「えぇ？みなちゃん？」
「そうそう、まじかっこよかったよ！」
クラスに誉められながら帰る準備をしていた。隣の席には赤と白の髪を半分ずつもつ顔の整った男の子がAをじっと見ていた。そんな視線を感じながらAは、いそいそと教室から出て帰路についていた。拒架は毎週火曜日は登校も下校も病院に行っているので今日は１人で帰っていた。はずだった。
「…轟くん？どうしたの？」
「…これからよろしく」
「え？あ、うん」
それから、何か言いたそうにAを見ていたがそのまま何も言わずに帰路についた。Aは、なんとなく一緒に帰る流れのような気がして歩く焦凍の半歩ほど後ろを歩いていた。
「(なんとなくだけど、歩幅合わせてくれてる気がする)」
「…狐葉、こっちだろ？送ってく」
「え？ありがとう。」
この日を境に拒架のいない火曜日は焦凍が送ってくれるようになっていった。
続→
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
