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「おばさん、A連れて来ちゃったよ、ごめん」
拒架は、話す。いつものように。まるでその人が相づちをうっているかのように。そこには、静かに眠る女の人がいる。
「おばさん、Aだよ。会いたかったよね？」
「拒架？」
「この人は俺の叔母なんだ。訳あって眠ってるけど」
静かに眠るその人はとてもきれいですぐにでも起き上がり話しかけてきそうだった。静かに眠る女の人にAは、胸が締め付けられるように苦しく抱き締められるように暖かい気持ちを感じていた。
「…A？大丈夫？」
「ん、なんか、苦しくて暖かい。よくわからないけど」
「そっか…」
それからのことはよく覚えていなかった。気がついたら家でご飯を食べ、お風呂に入り眠っていた。
「おはよー！！」
「おはよー、Aちゃん！」
いろんなことがあったけど、明日は体育祭だ。クラスで借りた練習場で、下校ぎりぎりまで修行という名の調整を行うようだ。百や、梅雨が提案して、そのまま貸し出し許可証と共に帰ってきたときはみんな、喜びでガッツポーズをとっていたし、出久は、ノートのチェックをはじめていた。
「お前ら、もう授業始まるぞ」
「あ、やば」
「皆、着席！」
飯田がいそいそとマイペースにかばんをしまう三奈や上鳴たちを手伝い席につかせていた頃には先生が教卓に立って笑っていた。
「きりーつ、れい！」
「「「「お願いします」」」」
「狐葉って、耳とか尻尾隠せるの元から？」
「え？や、違うよ。練習したんだよ、どうして？」
「いや、最近ずっと、でてるから」
峰田と上鳴がうずうずしてかつちらりとAのスカートからでるふわふわの尻尾を見た。たしかに最近ずっと出したままだったとひょっこりしまった。
「邪魔だった？ごめん」
「いや、邪魔じゃねー、なんかふわふわしててきもちよさそうだなって」
「？？…尻尾が？」
Aは再度ふわっと尻尾をだして９つある内の１つを前に持って来ようとした手を誰かがAを抱き締めるように後ろから掴んだ。
「お前たち。なにしてんだ？」
「気になるだろ？なぁ、峰田」
「気になるー！！」
二人は焦凍の視線から逃げるように練習場へ走っていった。それを見て呆れたようにため息をついた焦凍をAは不思議そうに見た。
「焦凍？どうしたの？」
「いや、別に、練習しないのか？」
２・逢いたかった人
(轟、嫉妬したな)
(してたな。しかも、独占欲もあるとみた)
(見守ってやろ)
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作者名：唯星 | 作成日時：2017年12月20日 21時
