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第6話〜目標〜 ページ9

「え…
私が、女子テニス部に?」


とある日の昼休み。
珍しく時雨と優雨の3人で取る昼食の中、
聖美は時雨に部活の勧誘を受けていた。


「ああ、聖美と優雨の洞察力は
確実にチームに貢献できるはずだよ。」


「私は元から入るつもりだよ。
全国行けば、侑くんに会えるからね!」


「「言うと思った」」


「えー!?
2人して酷いよー!」


「ハァ…とにかく、聖美、
アンタはまだ運動部の方決めてないんでしょ?
なら迷うことないじゃん!一緒にやろ?」


「時雨…だが…」


グイグイと来る幼馴染に
聖美はそっと自身の左半身を見る。
そこには偽物とも言える左半身があり
聖美は何とも言えぬ表情となった…

それに気付いた時雨と優雨は顔を見合わせ
複雑な表情をしている聖美の頬を両側から抓る。


「!?」


「あっはは!
聖美ちゃん変な顔〜!」


「ふ、ふう(ゆ、優雨)!?
ひふれ(時雨)!?」


「アンタ、まーだ引きずってるわけ?」


「ほ、ほんあほと…
(そ、そんなこと…)」


「…自分で言ったんだろ?
優牙()を守れたから後悔はないって、
それを早々に撤回する気?」


「……」


時雨の言葉が心に刺さる。
自分の頬を抓っていた2つの手は外れ、
少し赤くなった頬に優しく触れる。

頬から伝わる2つの体温に
自分が生きていると“改めて”感じる…

聖美はハァと諦めたように息を吐くと
困ったように微笑んで“降参”と両手を挙げた。


「時雨、お前の目標は?」


そう言った聖美の瞳は
獣のようにギラギラとしており、
時雨は驚くもその姿を数年前の聖美と重ね
無意識に口角を上げた…


「!……
ニッ)そんなの決まってる。
さっさとレギュラーに入って
全国に行く、そして優勝。」


「なら、その目標に力を貸そう。
私の力を借りるんだ、やれるだろ?」


「当然!
なっ、優雨!」


「うん!
聖美ちゃんがいれば百人力だって!」


…全国常連校の一角、四天宝寺中学校
その女子テニス部に3人の有力者が入部し
見事、その優勝旗を手にするのはもう少し後の話…

第7話〜急な変貌〜→←第5話〜2人の王子(女)〜



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作者名:スート | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年10月24日 9時

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