第1話〜入学式〜 ページ4
「聖美ー！
早よ、行くでー！」
「ちょっと謙也、早すぎ…！
別に時雨と優雨が先行ったからって…」
“第XX回 大阪府立四天宝寺中学校 入学式”
今日は新中学生の記念日であり、
聖美とその友達である忍足謙也は
今日から通う四天宝寺中へ向かっていた。
「せやからや！
時雨たちにスピードで負けるやなんて
浪速のスピードスターの名が泣くで！」
「そんな、はちゃめちゃな…！
ったく…！
そんなんだから時雨に先行かれるんだよ」
「んなっ…！？
それはタブーやろー！
時雨はんなこと…！
「あー、はいはい！
さっさと行くよ！」
なっ！？
聖美ー！待ちぃやー！」
そんな他愛もない会話を繰り返しながら
大きな鳥居のある学校に着いた。
「あ！聖美ー！…と謙也」
「時雨」
「時雨ー！俺はついでか！？」
“校門前にこんな鳥居があっていいのか…”
聖美は出身地である東京にはないものに
若干引き気味になるも、気にしたら負けと
校門前に立っている親友の元に向かった。
「謙也うるっさいよ。
聖美、こいつに無茶されてない？」
「ひどっ！
俺は別にそんなことしてへんからな！」
「アンタには聞いてないよ！
私は！聖美に！聞いてんのさ！」
「なんやとーー！？」
「あ、あはは…」
しかしそこで行われた
親友と同級生に聖美は苦笑して
やんわりと2人の間に入った。
「まぁまぁ、落ち着いて。
時雨、私は別に無茶してないから
謙也もそんなに突っかからないの」
「……なら、いいんだけど…」
「すまん…」
「ふふっ、ほら入学式始まっちゃうよ。
時雨は新入生代表なんでしょ？
早く行かないと、ね？」
「うん…そんじゃ、また後でね。
謙也、聖美のことお願い」
「お、おん…」
喧嘩が治るとタッタッタ…と
颯爽と駆けて行く時雨を見送り
聖美は謙也と共にクラスを見に行った。
「もう、せっかくの記念日なんだから
下らない喧嘩はよしなよ」
「せやけど…」
「言い訳は聞かないよ。
っと、ほら喧嘩した罰だ。
ちょっとクラス見てきて」
「…げっ！？
こんな人混みの中を行け言うんか！？」
「だからそう言ってるんじゃないか。
ほら早く行って来い、ヘタレ」
「誰がヘタレや！
ほならこれ突破したらその発言無しってことで！」
「……単純…」
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