第13話〜勧誘〜 ページ16
原の言葉に聖美は戸惑いを隠せず、バッと勢いよく白石の方を向いてただでさえ鋭い瞳を更に鋭くさせた。
「(しもうた…!
まだ聖美に話してへんかった…!)
き、聖美…あんな…」
「……あの、原先輩。
その件はまた今度でもよろしいでしょうか?
少しお時間下さい」
白石は聖美の目にビクビクしながら声をかけるも
その彼女に言葉を遮られ唖然としながら目をパチパチと瞬かせた。
「おん!ええで!
ええ返事待っとるわー
ほな白石、また後でなー!」
「ぇ…は、はぁ…」
颯爽と去っていく原を見送り、
白石は呆然と横にいる聖美に視線を移す。
すると、やはりと言うか…目を移した時にバチッと彼女と目が合い白石は反射的に目を逸らした。
「……おい」
「は、はい…!
(聖美怖っ…!!)」
「説明」
聖美の目は今までに見たことない程
ギラギラと鈍く輝いていて
白石は口元をヒクつかせ冷や汗をかいた。
「き、聖美…!
話す!話すから!
せやからその目やめぇ…!
据わっとる!据わっとるから!」
「……ハァ…
わかったから早く言って、時間の無駄」
「せ、せやな…」
ーーーーーーーーーーーーー
「…あー、つまり
今度の試合に備えて練習量増やしたいから
マネージャーを募集してる…
そのマネージャー候補として
蔵ノ介が私に白羽の矢を当てたっと…」
「お、おん…!
実の話、聖美に告白する前に誘う予定やったんやけど…」
「先に告白の言葉が出た、と?」
「……」
「……お前、頭は良いのに
肝心な所でアホが出るんだな」
“これも大阪人の性、なのか…”
呆れたように呟かれた言葉は
白石の心にグサグサと刺さって
彼のライフはもゼロに近かった…が、
「……まぁ、そういう所も好きなんだけど…」
「っ!!聖美ー!俺も好きやー!」
それを知ってか知らずか呟かれた言葉に
白石はガバッと聖美に抱きついた。
その顔は本当に嬉しそうで
それに気付いた聖美は照れて白石を押し返した。
「だが、マネージャーの件は少し時間をくれ。
私も私で忙しい身だからな」
「おん!
ほな、帰ろか!」
「ん…」
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