07.感覚はまるで初デートで ページ8
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“俺と”
“デートじゃ”
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「……お腹痛い。」
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“嫌でしょうか？”
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嫌なわけない。あのメールが来て、迷ったふりしてわかりましたと返信した。
返信したらすぐさまカレンダーはめくれていって、気づいたらあっという間に日曜日。
土曜日から迷いに迷った服装とメイクと髪型で、私は電車に乗り込んだ。
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櫻井さんが「私」じゃなくて「俺」に。
デート、だって。デートって意味調べたらなんか男女がなんたらこんたら。余計ドキドキしてアプリを終了させた。
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嫌だ嫌だって思ってたはずなのに、なんだかドキドキと胸を弾ませてスキップしそうな勢いで駅に向かったのも本当。
おしゃれも楽しかった、これも本当。
混乱しながらも結局嬉しいんだ。
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あんなかっこいい人にデートに誘われて、あんな仕事ができる人にデートに誘われて。
最悪、付き合う……なんてことになっちゃったら。松本さんにはお断りすればいいだけの話。
女子ならウキウキしないはずがないんだ。オシャレしないはずがないんだ。
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ばくばく、ドキドキ…。そんな痛みのような胸のときめきを抱いて、それをこっそり隠して。
駅前ーーー…、確か東口って言われたような。階段を上っていって、東口に出る。
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櫻井さんって、お金持ちなのに電車とか使うんだなぁって親近感が湧いて最後の階段の段差を踏みつけた時
どこかで見たことがある、スーツ…というかジャケットの後ろ姿が視界に入る。
完全に行き交う女子たちの視線を独占しているその人は、確かに洗練されたーーー…櫻井さんで
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嫌ってぐらい、心臓と言う名の心臓が破裂しそうな音がした。
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ただ待ち合わせしてるだけなのに、この胸のうるささ。あの人の隣にこれから私が並ぶのかと思うと意味がわからない感情が込み上げてくる。
カッコいいけど、綺麗と言うか。あれが本当の『容姿端麗』っていうんだな…って数秒見惚れて
ゆっくり深呼吸を繰り返したりなんかしちゃって。さあ、勇気を出して。
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一歩、カツン。と踏み出した。
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…踏み出したけど、足取りを止める。
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「翔！？」
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止めざるを得なかった。
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