31.Rolling days ページ32
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「いき…ましたね」
翔「あぁ…」
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お互いコンクリートの壁に背中をもたらせて、ずるずると力を抜いた。
はあ…はあ…はあ…とまるでフルマラソンをしたかのように上がる息。
櫻井さんなんか後半はずっと私を抱えて走ってくれたんだから、体力の消耗は尋常じゃないはずで。
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汗が確かにそこに滲んであり、ポケットにハンカチあるかなと手を突っ込んだ時
ころんと指の先を掠めた、USB。
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左隣でぐったりとしている櫻井さんを見つめ
息をゆっくり吸って、吐いて。
問いかける。
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「…櫻井さん」
翔「……ん」
「今なら、大丈夫ですよね」
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ニャーァ、と猫の鳴き声が聞こえて視線を上に上げると黒猫が目を光らせて私たちの目の前を横切る。
路地裏は暗くて、狭い。
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「…話して頂けますか、経緯を」
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ゆっくり、かつ重く開いた唇。
櫻井さんは閉じていた瞳を開き、黒目を私の方に向けて来たかと思えば
もう一度目を閉じた。
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でも、その代わり。
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翔「ーーー…今朝、俺はいつも通り社長室に呼ばれたんだ」
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彼は、語り出した。
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32.恋情、というハナシ。…side S→←30.いつも現実は強引で
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