28.本当の黒幕 ページ29
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「な、な、なんですかあれ！てか今のなんですか！」
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人は死ぬ前に走馬灯を見ると聞く。
もしかしたら私はもうすぐでそれを見るんじゃないかとーーー…本気で思った。
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慌ててバッ！と後ろを振り向くと、やっぱり交通法ギリギリの範囲内でぶっ飛ばしてくるベンツが何台も。
櫻井さんは苦悶の表情を浮かべ、チッと舌打ち。バックミラーを覗いて
またギュイイン！とハンドルを思い切り回して、思い切り左折。その勢いに吐きそうになって体制を元に戻す。
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見たこともない、尋常じゃない速さで車窓の景色が動いて行く。
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「櫻井さん！なんなんですかあれ！」
翔「追っ手」
「でしょうね！？」
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あれで追われてなかったらどういうこっちゃ。
運転席にいる櫻井さんに噛み付くように、顔を近づける。
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「追っ手ってなんですか！」
翔「ーーー…簡単に言うと、嵌められた」
「は！？」
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翔「俺、今逃亡者。お前、今狙われてる」
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低い声でそんなこと言われても何が何だかさっぱり分からない。
そんな疑問を浮かべている間に黒いベンツたちは徐々に距離を縮めていく。
当のこの車といえば、左折右折左折右折を繰り返して乗り物酔いをあまりしない私でもなかなか酔いそうな勢い。
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「逃亡者ってなんなんですか」
翔「あー…っと、信号に引っかかったなあいつら」
「そうですね…じゃなくて」
翔「詳しい説明は後でする。簡潔に言うと」
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翔「俺は松本に裏切られてた。そしてその糸を操ってたのはーーー…」
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ヴーヴー…と忙しなく車が動く最中に、私のポケットの中のスマホが振動を開始する。
誰かなと思ってそっと、スマホを取り出せばディスプレイに表示されているメッセージ。
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翔「二宮だ」
【二宮さん:今どこにいる？】
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ぞっ…としてスマホを慌ててポケットの中に戻す。取り敢えず状況は掴めた。
多分今は逃げなきゃいけない。
この人と、逃げなきゃいけない。
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翔「あーーーっ、くっそ！」
「車通れません、ここ」
翔「降りるぞ」
「えっ！？」
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この人と。
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