19.ギブアンドテイクな関係 ページ20
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仕方ない。おかゆは諦めよう。
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あーあ、って思いながら冷えピタの箱を取り出してピリッとフィルムを剥がして
眉間にしわを寄せてる櫻井さんのおでこにそっ…と貼ると、閉じていた瞳がゆっくり開く。
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目と目があって、なんとなく気まずくなったけれど彼はすぐに身体を横に向けてーーー…私に、背中を向ける状態にして
私は残念なような、ホッとしたような。よくわからない、微妙な気持ちになって買って来たみかんゼリーを袋から取り出す。
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翔「……なんで来た」
「え？…だから、面倒見てくれる女の人なんていないだろうなって思」
翔「本当のことを言え」
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袋をガサガサと揺らし、取り出したのはポカリ。
キュッと固いキャップを開ける。
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「…見返りとか。そう言うの別に求めてませんよ」
翔「…嘘つけ」
「嘘じゃありません」
翔「人間ってのは人に優しくする時は、自分に見返りがくるから優しくすんだよ。本当の優しさなんかじゃない。全部、自分のためだろ」
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コホッと咳をして、揺れる背中が寂しい。
この人は元々、こういう人だったんだろうか。それとも、誰かが変えてしまったんだろうか。
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ポカリを彼に手渡して、上から顔を覗き込む。
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「弱ってる時ぐらい強がるの、やめて見たらどうですか？」
翔「…は？」
「確かに、私は今日櫻井さんに聞きたいことがあってここに来ました」
翔「…」
「でも、それはついで、です。ここに来た名目は純粋にあなたを心配したからです」
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本当だった。
なんでか、二宮さんに櫻井さんが高熱を出して早退したと聞いた時すぐに心配になった。
あんなクズみたいな性格の男、ほっときゃいいのに。
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“松本から奪うためだよ”と放った時のあの顔が
やけにーーーー…、切なくて。
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翔「聞きたいことってなんだよ」
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ポカリを口に含んで、言葉を紡ぐ。ゴクリと動いた喉仏に無駄に胸が騒がしくなった。
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「人を疑え、って…どういうことですか」
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そう尋ねた途端、櫻井さんの飲む手がピタリと止まる。
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翔「…そのままの意味だよ」
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答えになっていない答えが返って来た。
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