15.薄暗い部屋で…side S ページ16
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プルルルル、と甲高いような。そんな着信音が俺の身体を奮い立たせた。
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翔「ーーー…はい」
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部屋は真っ暗。それは何故か。
太陽の光が嫌いで、自分の部屋はカーテンを完全に閉め切っているからだ。
熱い身体をベッドの上で唸らせて、冷えてるタオルを額に押しつけるように右腕を額の上に乗せた。
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翔「…分かってる、大丈夫だ。え？…心配いらない」
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ピピピ。と脇の下に挟んでいた体温計が、これまた甲高い音を鳴らして静かな部屋に鳴り響かせる。
額から右腕を下ろし、脇の下に挟んでいた体温計をそっと取り出して見るとそこに表示されているのは
“38.5℃”というゲンナリする、高熱。
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翔「平気だ。……全ては、計画通りに行ってる」
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ケホッという咳が出て、喉までヒリヒリしてきた。最悪だ。マスクなんて大それたもん、家にあったか。
つーか、風邪薬なんかあったっけ。
くっそ、って舌打ちして電話の向こう側で苛立ってるアイツに悪いと謝る。
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翔「松本のことだろ？ーーー…あぁ、うん。陥れる？まさか(笑)」
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むくり…とダルイ身体を無理やり起こして、無駄に広いこの部屋をペタペタと裸足で歩き
無駄に大きな冷蔵庫を開けて、飲みかけの1.5リットルのミネラルウォーターをラッパ飲みした。
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翔「心配すんな。全部、俺がやる」
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プーップーッと切れた電話。
ハァ…と息を吐いて、ディスプレイを見れば電話中に松本から着信があって掛け直す。
プルルルル、という音がして「はい」という声がする。さすがだ。ワンコールで出た。
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翔「…もしもし、すみません、電話に出れず」
潤『あぁ、電話中だったんだな。仕方ないだろ』
翔「…ええ、ちょっと私用で」
潤『体調は平気か？明日出れそうか。もし無理だったら八木か、二宮に送迎頼もうかと思って』
翔「あぁ…、申し訳ありません。一日、休暇を頂いても大丈夫ですか。仕事の引き継ぎはメールで…八木か二宮にしておきます」
潤『分かった。しっかり治せ』
翔「はい」
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失礼しますと電話を切る。
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ミネラルウォーターをもう一度口に含んで、少し水が口から垂れた。
これから、だ。
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