魑魅魍魎の類 ページ5
．
コンコン。
扉の向こうでノックをする音がした。
私は「はーい」と無気力な声で返事をすると、月彦さんが入ってきた。
それを見た私は慌ててベッドから身体を起こして見やる。
「あかりは付けなくて良いのかい？」
「え、ええ……もう寝るし…」
すると、月彦さんは私の隣に腰をおろして私の顔をじっと見つめた。
月光で微かに輝く紅き双眸が、私をずっと捕らえていた。
まるで、金縛りにでも遭ったみたいに身体中強ばった。
すると、月彦さんは私の頬にそっと手を寄せた。
すごく冷たい手だった。
「君は、異形の存在を信じるか？」
「いぎょう……？」
「妖怪や霊、あるいは…………そういったものをだ。」
いきなり何を話しているのだろう。
だが、それからというものの、この薄暗い部屋がより一層重くなるように感じた。
すると突然、弦を弾くような音とともに重力が下へと引きずり込まれた。
私は驚きのあまり叫ぶと、大きな尻もちをついた。
「いったたたた………」
お尻をさすりながら目を動かすと、まるで異次元空間のような所に来ていた。
これはやっぱり夢なのか。
そう思った時、月彦が私の前に現れた。
「つ、月彦さん………」
だが、私が見てきた月彦とはまるで表情が逆さまである。
縦長の瞳孔、鋭い犬歯、蒼く尖った長い爪。
私はこの時悟ったのだ。
(死ぬ。)
「私は月彦ではない。平安の時から人間を喰らい生きてきた鬼だ。」
異形。
私は、異形の世界に来たとでも言うのか。
「そう……そうなんだ…………私は、食べられちゃうの……？？」
「その前にお前にいくつか聞きたいことがある。お前のその服はなんだ。」
麗さんと同じ質問をされた。
人間世界に溶け込んでいる鬼ですら分からないというのは一体どう言う事なのだろう。
「これは学校の制服です……高校生だし、スカート短くしたりするのは当然じゃないですか………」
私は半泣き状態でフツフツと話す。
「………お前はどこから来た。」
「分からない…でも少なくともここが私の生きていい世界ではない事だけはわかる。だっておかしいじゃん…………私だけこの世界でまるで浮いてるの……みんな西洋的な服を着て、馬に乗った人がいて、馬車が走ってて、コンビニすらないんだもん。」
そう言うと、月彦さんは私をみて黙りこくった。
とうとう、私は死ぬのか。
そう悟っていた。
続く
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muitirou?(プロフ) - 続きが気になりますー！更新頑張ってくださいー！ (2020年2月8日 22時) (
レス) id: 2ddfbc574e (このIDを非表示/違反報告)
虚像(プロフ) - ，さん» 失礼致しました。気づかなかったのでご報告ありがとうございます。こちら外させて頂きましたので、以後注意致します。 (2020年2月5日 2時) (レス) id: 895475e142 (このIDを非表示/違反報告)
, - オリジナルフラグ外して下さい。違反ですよ (2020年2月4日 23時) (レス) id: 4978b655b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虚像 | 作成日時：2020年2月4日 2時
