夢朧 ページ4
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私は浴室を借りて出ると、召使いらしき者が私に一礼した。
「夕食のご用意が出来ましたので、ご案内致します。どうぞこちらへ。」
これは夢なのだろうと思った。
あんなイケメンの金持ちが私を助け、豪邸でおもてなしをされ、美人の奥様に付き添われ。
私は着慣れない白いレースのネグリジェを来て歩きながら考えていると、大広間に案内された。
そこには、まるで映画に出てくるような、長い長いテーブルに、月彦さんと麗さんが向き合って座っていた。
「好きなとこに座りなさい。」
月彦は優しい笑みで私をもてなす。
なんていい人たちなんだ。
私を助けてくれて、料理までもてなして、しかも泊めてくれるなんて。
「すみません、こんなに良くしてもらって……明日には出ていきますから。」
「そうね、お家の人もきっと心配しますでしょ?」
こんないい人達に嘘をついてる私自身が嫌になる。
でも、自分のこの状況は本当に夢なのだろうか。
夢じゃなければ、夢じゃなければ私は今後一体どうすればいいのだろうか。
私は手が思わず止まってしまう。
「嫌いだったかな?」
「え?」
「料理。今日はフランス料理なのだが、君の口には合わないかな?」
「い、いいえ……その、食欲があまりなくて…ゴメンなさい。」
明日どうすればいいのだろう。
行くあてもないし、このままでは道端のホームレスだ。
いつもの持ち前の元気さがまるで失われてゆく。
これを夢と片付けるには、どこか現実味があるからなのだろう。
「今日はもう休んだら?お客様用のお部屋があるはずだから、そこでゆっくりするといいわ。」
麗さんがそう言うと、月彦も麗さんと同じように微笑む。
私は多くの豪華な食事を残して、案内された部屋に入るとベッドの上に大の字になった。
あかりもない部屋から、月の光が一筋入ってくる。
私は、窓から見える大きな満月をみてぼーっとする。
こんな現実離れした生活、まるで私は居心地の悪い椅子に座っているかのような気分だった。
「ここは、どこなんだろう……」
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muitirou?(プロフ) - 続きが気になりますー!更新頑張ってくださいー! (2020年2月8日 22時) (レス) id: 2ddfbc574e (このIDを非表示/違反報告)
虚像(プロフ) - ,さん» 失礼致しました。気づかなかったのでご報告ありがとうございます。こちら外させて頂きましたので、以後注意致します。 (2020年2月5日 2時) (レス) id: 895475e142 (このIDを非表示/違反報告)
, - オリジナルフラグ外して下さい。違反ですよ (2020年2月4日 23時) (レス) id: 4978b655b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虚像 | 作成日時:2020年2月4日 2時