127. カカオフィズ ページ7
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「A…ちゃん?…」
何か言いたげにしてる
孝にぃちゃんには気付かなかったふりして
「あ、カクテルあるじゃない!
私、カクテル飲もうかな?
孝にぃちゃん作ってよ、甘くて強いやつね♪」
ドリンクメニューを見ながら
おかわりを催促する私。
シラフでいたら
余計なことばかりを言いそうだから
間違えても、そんなことを口走らないように
久しぶりに飲みたい気分。
うんと強いのが必用。
モスコミュールに、ロングアイランド・
アイスティー。
マルガリータに、アレキサンダー。
次々に飲み干しては
そのカクテルの意味を聞いた。
「Aちゃんってアルコール強いんだな。
俺が知ってる頃のAちゃんとは違うから
ちょっと、驚いたよ」
なんて言った孝にぃちゃんに
「あの頃は、まだお酒の美味しさを知らない
うら若き乙女だったから」
なんて、戯けながら
次のカクテルを注文した―――
「ね、このシェリー酒、美味しそうだね?
これちょうだい?」
「…えっ、」
私が指差したシェリー酒に
孝にぃちゃんは苦笑いした。
「Aちゃん、この意味知って言ってる?」
「え?、なに?」
「シェリー酒の意味は、“今夜はOK”って、意味だよ」
「…っ///」
「あんまり、背伸びしないで
このカクテルなんてどう?」
そう言って、目の前に出されたカクテル。
「これは、カカオフィズ。
“ほんのり苦味のある恋の味”って、意味だよ」
痛いところを突いて来られて
ちょっとドギマギする私…。
「孝にぃちゃん、私のこと…
さりげなくイジメてる?」
ほろ苦い味のカクテルに
口をつけながら軽く睨む私に
「なんのこと?」
なんて、孝にぃちゃんはとぼけてるけど。
絶対、カクテルの意味を分かっていながら
私に出してきたんだと思う。
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時