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144. 電話ごしの声 ページ24

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「仕事の方はうまくいってますか?」




私には、知らされていない

今回のNYでの仕事内容。




向こうでどんな人と会うのか

興味がないわけではないけど…




誰が相手なのかってことよりも

あれだけ社長が気合いを入れて

行ったNYでの仕事が

吉と出たか、凶と出たかの方が

気になっていた。





『順調だよ。そのおかげで予定より
少し早く帰ろうと思ってる。
まぁ、飛行機が空いてたらだけどな』




電話の向こうでカチャカチャと

キーボードを叩く音がする。




機嫌の良さそうな社長の声からも

いい具合に仕事が進んでいることが

私なりに分かってホッとした。





「よかったですね、
NYでの仕事がうまく進んでるみたいで」



『うん、そうだな…一歩前進したよ』




穏やかな口調を聞いて

社長自身が一番ホッとしてるんだと分かって

“お疲れ様です”って

いっぱい労ってあげたい気分にさせられる。





『…あのさ、A?』




一呼吸置いて

改まったような感じで名前を呼ばれ

私は少し身を固くして緊張した。



大野さんがこちらに背を向けたまま

キッチンで雑誌を読むのを確認して…




「はい?」




自然体を装った。



電話越しに低く響く声が

私の耳を通って胸を震わせるから

ホントにまた、熱が上がりそうな感じがして

そんな自分が恥ずかしかった。



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時

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