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143. 手取り足取り ページ23

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「あ…」



鳴りだしたスマホを見ると

社長からの電話で……



すぐに出るのもなんか

“待ってました♪”って感じだし…

と、ちょっと躊躇っていたら




「なんで電話出ないの?」




不思議そうな顔をした大野さんが私を見た。




「…あっ、え?、今、でるとこ…です、」




そう言ってスマホの通話をタップした。





なんか、ちょっと…

大野さんがいるところで社長からの電話って

話しずらいかも……




いろんなことが顔に出ちゃう私としては

かなり、緊張するんですけど……。





「もしもし…」



『出るの、おせぇよ』




低く笑いを含んだ声が

なんだか、くすぐったくて

思わず、頬が緩んでしまう。





『って言うより、なんかおまえの声
おかしくねーか?』



「すいません、ちょっと風邪ひいたみたいで。
でも……」




今、大野さんが来てくれたので

大丈夫ですって

そう続けようと思ったのに。





「翔ちゃんでしょ?ちょっとかわって」




「あ、えっ、、」




私の手から

するりとスマホが取り上げられた。





「大野さ…」



いきなりのことに驚く私に

シーッと口元に人差し指を当てて




「いやぁ…いつも妹がお世話になってます」



ニコニコ笑顔で話しだす大野さん。




「え?Aの兄ですよ…
可愛い妹が熱出して不安そうにしてると
やっぱり、兄としてはいろいろと心配で…」




ご機嫌な様子で私の兄を演じてる大野さんが

不意にちらりとこっちを見て




「え?ちゃんとやってるよ…
手取り足取り看病してやってるから…笑」




なんか妙なことを言ってるし。



「え?…ああ、そう?
ちょっと待って、
Aちゃんにかわるから…笑」



「もしもし…」


『おまえ、智くんにヘンなことされてないだろうな?』




ヘンなこと…って

そんなことする人じゃないくらい

十分過ぎるくらい知ってるじゃないですか。




「薬買ってきてくれて
美味しいお粥作ってくれました」



『そっか、ちゃんと食ったか?』



「しっかりと完食しました」




そう言うと可笑しそうに

社長は電話の向こうで笑った。



.

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時

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