123. 心細さ ページ3
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社長の帰宅は4日後の月曜の夜。
社長の秘書をしてから
１日以上、社長と顔を合わさなかったことが
なかったから…
ちょっと変な感じというか
ひとりで過ごすことに不安に感じてしまう。
13時間後には、もう社長はNY。
私はその頃、マンションに帰って
眠っている時間。
なんか…。
「……ちょっと、心細いなぁ」
情けない声がポロリと漏れる。
別に泣きたくなるような
寂しさじゃないんだけど
小さくなって行く背中を見送るのは
今回が初めての経験で。
やっぱり寂しいというか
できたら、したくないことの一つに思える
最近、ずっと一緒にいて…
一緒にいることが当たり前で…
それが当たり前に続くって…
ずっと、普通に感じてた。
たった１日で
今まで当たり前だった日常が
ガラリと変わるのは
結構、キツいのかもしれない…。
自分の信用を得るためだけに
私に契約結婚を提示して来たあの社長に
振り回されてる自分が情けない。
「……ホント、振り回されすぎ」
一人呟いた言葉は
周りの喧騒が掻き消してくれた。
子供の頃より大人になった分
この日常が変わらず続いていくなんて
思ったりなんかしてないし…
いつか、自分を取り巻く環境も
変わっていくって、わかってる。
社長もいつかは誰かと家庭をもつだろうし
それは私も同じ。
上司と部下なんてお互いの立ち位置も
私が秘書の仕事を辞めたら終わり。
いつか、この日常は
別なものに変わっていくんだよね…。
ずっと変わらないなんて
バカみたいに信じてる純粋な思い込みが
少しばかりイタイ。
大人になると夢見ることが少なくなる分
リアルな現実ばかりが見えてくる…。
傷つきたくないから
足踏みが増えて
なかなか前に進めない…
なんか、やっぱり、寂しいなぁ…。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2016年3月13日 0時
