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132. 穏やかな沈黙 ページ12

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社長のこと想像なんかするから

自分の意識がそこばかりに集中して

いろいろ考えてしまう……





私に、気づかせないでくれてたらいいのに…

見落とさせてくれてたらいいのに…





私は社長に心配されてるってわかるから

またヘンに期待して、誤解しそうになる。





部下として気にかけてくれてるだけなのに

社長の私に対するその優しさを

履き違えてしまいそうになる。





自分の社会的地位と信用を得るためだけに

「契約結婚」なんてことを提示してくるなんて

ホント自分勝手な社長…。





「あのぅ…何か用事でしたか?」




気持ちを切り替えて、秘書としての私が聞く。




『おまえさぁ…それって冷たくねーか?
用事がなかったらかけてくるなってことか?』





上司としてではない答え方で

切り返してくる社長。




ズルいですよ、社長。

そんなふうな言い方をされたら




「…そうは言ってませんけど」




秘書に徹して答えられなくなる。




『今まで寝てたのか?』



「はい、ついさっき起きたところです」



『そっちって昼過ぎだろ?
そんな時間まで寝てるなんて、珍しいいな』



「何もすることがないので、
ゆっくり眠ってました。
ところで、もうお仕事終わったのですか?」



『ああ。今日は挨拶に行って来ただけだから』



「お疲れ様です…」



『ああ…』



いつもと変わりない会話が不意に途切れて

静かな沈黙が流れる。





それは、何か言わなきゃなんて考えることのない

静かで、穏やかな沈黙。



なぜか、居心地が良いとまで感じる

すごく優しい時間。


.

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時

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