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131. 声の変化 ページ11

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社長が日本にいないからって

安心して飲んでたけど…



何か緊急なことがおきて

私の携帯にも

電話がかかってくるかもしれないのに

そんなことすら、想像できなかったのは

秘書としての私のミスだ。





『家の電話にかけたけど、なんで出なかった』



「え…、それは…」





おまえは、どこでなにしてやがった…と

それとなく社長に問われて




リビングに確認しに行くと

留守電ボタンが点滅してる電話機を見て

痛む額に手をやった





「申し分けありませんでした…
ちょっと、昨夜は出かけてまして…」





別にどこでなにをしていたかまで

社長に言う必要がないから

それ以上は何も言わずに口を閉ざした。






そんな私の態度に

社長は気づいたか気づいてないのか

それ以上、何も追及はしてこなかった。




一瞬訪れた沈黙が

なんとも言えない気まずさを感じさせる……






『…おまえさぁ、ひょっとして体調悪いの?』



「えっ、」



『いつもの声と少し違うから』




最初の時より

落ち着いた声音で、聞いてくる社長。





「寝起きだから…だと思います」





目を閉じて、そう答えると

心なしか敏感になった私の聴覚が

社長の声の変化を気づかせる。




低い声でどこか不機嫌そうな中にも

私を心配してくれてるその様子。





海を越えた電話の向こう

時刻すら違う異国の場所で

社長は、今どんな顔をしているんだろう……





そっと目を閉じると

まぶたの裏に現れる社長の姿。






眉間にシワを寄せながらも

少し眉尻を下げてるであろうその顔が

まぶたの裏に浮かんだ。



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時

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