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121. 方向音痴 ページ1

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なかなか止まない携帯の振動が

ようやく静かになったけど

社長はまだ戻って来てくれなくて

それが、さらに私を緊張させる。




考えなきゃいいのに

また携帯が震えだすんじゃないかって

意識がそこにばかり集中しちゃう。





なんともいえない

この重苦しい胸のつかえが苦手。




自分の注意力を別のことに向けようと

キョロキョロしてみたりするけど…




成田空港なんかまともに来たことない私には

どこに何があるのかさえわからない。




どこを向いても

視界を横切るのは、人の波。




旅行に行くって感じの家族連れや

新婚旅行に行くって雰囲気の幸せなカップル。

そしてビジネスマンや異国の人たち。




ちょっとでも動けば

方向音痴の私は

簡単に迷子になってしまいそう。





だけど…





「………あっ、」





こんな人混みの中でも

社長をすぐ見つけてしまう私は

きっと迷子になっても

この空港内をさ迷ったりはしないで

簡単に社長を見つけて

彼のところへとたどり着けるはず。






だけど、なぜか人混みの中

キョロキョロしてる社長。




たぶん私を探してくれてるその後ろ姿を見て

少しだけ胸のつかえが楽になった。





振り返らなくても

あのなで肩は間違いなく社長だと確信できる。




「社長っ!」





社長も私と同じに方向音痴でしたか?





私がいる方向とは

全く違う方向ばかり探してる

その背中に向かって

私は大きな声で呼び掛けた。



.

122. 搭乗アナウンス→



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年3月13日 0時

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