99. 副社長 ページ10
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私が、全く気づかないうちに
自分の部屋に鍵をかけるって…。
用意万端というか…
抜かりないというか…
油断も隙もあったもんじゃない。
仕事の電話をしてる社長に
ちらっと視線を向けてから
私は静かに部屋を出た。
今までの平凡な毎日に
変化が欲しいとは思ってたけど
こんな変化を求めてたわけじゃない。
気が付けば、社長の秘書をしてるし
増してや、セクハラ行為が
レベルアップしてしまってるこの現状。
このままでは
ちょっと問題があると思うんですけど。
「……」
まだ火照りを残した頬の感触と
唇の感触がなんともやりきれなくて
溜め息が漏れた。
「あー、なーんか…色っぽいね
Aちゃんのその溜め息」
自動販売機の前でニヤニヤ笑いながら
こちらを見てる人物に
思わず“ゲッ…”と心の声が出そうになって
慌てて、ぐっと飲み込込んだ。
獲物を狙う肉食動物みたいに
気配を消すのが得意なのは
この会社の男性の特徴なんだろうか。
「副社長、お昼休み終わりますよ」
「いいの、いいの」
「早く自分の仕事にもどらないと
秘書の紀子さんが心配しますよ?」
そんな、いやーな目をしてないで
紀子さんが探しに来る前に
仕事に戻りましょうよ。
そんな私の心の声が届いたところで
絶対に無視するであろう副社長は
給湯室へ入って行く私ついてきて
出入り口のところで壁に背を預け
腕を組むと、私を観察するように見ていた。
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年2月18日 0時