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112. ズルい人 ページ22

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「副社長と紀子さん…お似合いでしたね」


『そう?
俺は、ニノ相手だと紀子ちゃんが
いろいろ大変だと思うよ』




そんなこと言って、苦笑いする社長。




確かにあの副社長相手だと

それはそれで、苦労しそうだけど…




でも、副社長は黙ってさえいればイイ男だし…

紀子さんは文句なしの容姿だし…





「やっぱり羨ましいです…」





好きな人が自分を好きになってくれるって

奇跡に近いことだと思う。




そういう人達ってお互いの小指と小指が

赤い糸で結ばれてるのかもしれない。





そんなこと考えながら

私と社長の小指を見つめてみるけど

やっぱりそんなロマンチックなことなんか

あるわけもない。





『A、ちょっと』



「はい…?」





社長の方を向いた私に

ほんの一瞬だけ

唇が触れるだけのキスをされて。





「……///」





文句を言う間もなく、青信号で走り出す車。



ちらっと社長を見ると

その横顔がすごく優しいから

口から出ようとしていた文句さえ忘れちゃう。




「……今度したら、
ワキ腹コチョコチョ攻撃しますからね」




負け惜しみ程度にしか出ないセリフも




『バーカ、させねぇよ』



そんな一言で簡単に片付けられてしまう。





マンションについて車を降りて

少し離れて歩いた。



また、何かされるんじゃないかと

ついつい警戒心が出てしまう。





エレベーターに乗る私を待って

ドアに手をかけてくれてた副社長が

最上階のボタンを押した。





エレベーターのドアが閉まると同時に

さっきより長いキスを受けてしまう。





ただ優しいだけのキスは

私の思考をストップさせることもなく

今までの中で一番ズルいキスだった。




「……これ以上キスしたら
お鍋作りませんからね」




唇の離れ際、照れ隠しに怒ったフリする私に。




『それはマジやめて』




と、困ったように眉毛を下げ

笑って見せる社長。






ホント、社長ってズルい人。



簡単に抵抗できるくらいの力と

考えるだけの余力を私に残してキスをして…





だから、嫌でも気づいてしまう。




社長にキスされて

嫌だと思ってない自分に―――。



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年2月18日 0時

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