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109. 一か八かの勝負 ページ19

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『この感じだと…
ニノの部屋かホテルってパターンだな』




明るいうちから、良くやるよなぁ…と

呆れたように言ってますけど。




明るいうちとか関係なく

昼休みの社長室でキスしてくる人が

そんなこと言えないと思うんですけど。




「誰か来て、この状態を
見られたりしませんか?…」





私が二人を心配して

ハラハラするのもおかしな話なんだけど。





濃厚なキスシーンは終わったみたいでも

なぜか二人は

抱き合ったまま離れる気配がなくて

私としては、落ち着かないんですが…。



『ほとんどの社員は、向かいの屋外駐車場
使ってるから。
まぁ…限られた人間しかここには来ねーわ。
…って、ことはさぁ』





それでなくとも近い距離なのに

なぜか私との距離を詰めてくる社長。




「な、なんですか…」



その口の端を上げる笑い方は

…かなり危険。




『なぁ…俺らもあいつらが消えるまで
動けないんだし…』



ヤバい…

また、ヘンなスイッチが入ってる…

後ずさる私に迫る社長。




逃げたくても、車と壁の間で

もうこれ以上逃げれない。





「ワキ腹…」


『ああ?』



おまえ、なに言ってんの?と

息が触れそうなくらい近くにきた顔。




本当かウソか定かではないけど…

私は一か八かの勝負に出た。




「これ以上近づいたら
ワキ腹コチョコチョしますから…」




自分で言っといてなんだけど

すっごく間抜けなセリフだと思う。




『…………』





ほら、社長もフリーズしちゃってるし…




『…あいつ』


「え?」


『……ニノのヤツ、マジで殴る』


「………」




低い声でそんなことを言うその顔には

さっきまでの意地悪な微笑みは消えてて…



その眉間のシワの深さが

あの間抜けなセリフは

効果的だったと証明している。




「ちょ…ダメですっ、」




立ち上がろうとする社長の腕を引いた。



今は絶対にダメです。



今出ていったりしたら

二人だって気まづくなりますからっ!



『……』



責めるような社長の眼差しが痛い。

だけど、本当に今出て行ったら

副社長はともかくとしても

紀子さんはもっともっと困りますからっ!





あまりに必死な私の形相に折れてくれたのか

社長は舌打ちをして

大人しくしゃがんでくれた。




だけどその顔はすんごーく不機嫌で

全く納得なんてしてない顔をしていた。






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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ミイ | 作成日時:2016年2月18日 0時

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