08. 観察 ページ8
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拉致状態の車内。
よしこうなったら、開き直って
社長の観察でもしてやるんだから！
目を閉じてる社長の横顔を見てると。
『なに、俺に向かってガン飛ばしてんだよ』
「い、いえ…そ、そんなつもりは…」
目を閉じてるのに
なんで、なんでわかるの？？
怖すぎてまともに見れないから
車の窓に、映る社長を盗み見ることにした。
黙っていれば……
やっぱりすごくいい男、なのに…。
さらさらの髪に
くっきりとした二重まぶた
それにすっきりとした鼻スジに
プクッとした赤い唇。
まつげだって、すごーく長いし…。
今更だけど、こんな至近距離で
じっくり社長の顔なんか
観察したことなかった。
アルコールも手伝ってか
やっぱり見とれてしまう。
仕立てのいいスーツに包んだ体は
均整がとれてるし……
ほんと、黙ってさえいればいい男……なのに。
まったくもって、
どうして、こんなに性格が悪いのかなぁ？
社長が、優しくて穏やかな人だったら
もっともっと好きになれたのに…
だけど、こういう意地悪なオトコの人に
ののしられたいって願望の女の人は
探せばいるのかもしれない。
それに、カッコいい男だし…
社長に彼女がいても全然おかしくない。
きっと、かなりドMの人だろうけど。
いや、だけど、社長って…
案外彼女には優しかったりして……。
って、こんな怖い社長相手に
私は、なんて想像してるんだ……。
ほんと、どうでもいい、
社長のプライベートなんか……。
どうでも……
それなのに、どうしてか
社長から目が離せない。
車の心地よい振動と、久しぶりのお酒に
私…ちょっと、眠いかも……
あー、酔ったのかなぁ…
お酒、久しぶりだったからなぁ……。
やっぱり、酔ってるんだ……。
だけどもっと酔いたかったなぁ…
なにも考えられないくらい酔って
バタンって、寝ちゃったら
明日からの仕事のことなんか考えなくていいし
すごーく、幸せだったはずなのにな……。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年12月7日 23時
