オレ様社長に恋をして (ページ30)

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30. 香りページ30

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「………、」

社長の使ってるシャンプーの香りと

体に残る微かなボディシャンプーの匂いに包まれ

耳を塞ぐように抱きよせられた私は

社長の胸の中で轟音を聞いた。

私にとって雷と社長…

今は、どっちが苦手かと聞かれたら

間違いなく今だけは

社長と答えたくなる状態で…。

『あとちょっとで、雷が通りすぎるから
このままでいろ』

そう言って、

社長は私の耳を塞いだまま動かない。

いつもの調子で意地悪なことを

言ってくれた方が、まだマシなこの状況…。

こんなふうに優しくされると

社長の腕を振り払うタイミングさえ

私はわからない。

苦手な雷なんか問題にならないほどに

私の思考をフリーズさせる社長

どれくらいそうしていただろう。

たぶん時間にすれば

そんなに長い時間じゃなかったと思う。

さっきまで聞こえていた雷鳴の間隔が長くなり

やがて、雷鳴は遠くなっていった。

「……あのぅ、」

私を抱きしめる

社長の腕がなかなか緩めてもらえなくて

私は軽く身をよじった。

『ああ？』

「ああ？…とか、じゃなくて…ですね…」

ごそごそと社長の腕から

抜け出そうとしたけれど

『まだこのままでいろ…って』

頭を抱いてた腕が

強く私をひき止めた。

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