オレ様社長に恋をして (ページ29)

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29. 大きな手ページ29

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『なに？ひょっとして、おまえ雷が怖いの？』

頭上から聞こえてきた声に顔を上げれば

笑いを堪えたような顔をして

社長が私を見下ろしてる。

『そうか、そうか…ふーん
ほら、こっちに来てもいいぞ』

人をバカにしたように笑いながら

社長が腕を広げている。

「け、結構で…す、ッ」

ピカッと派手に光る夜空に

立て続けに雷鳴が鳴り響いたかと思うと

さっきなんか問題にならないほどの

大きな轟音とともに部屋の明かりが消えた。

「ひッ…！！！」

『あー、停電になっちまったな…
でも、大丈夫。すぐに明かりが点くから』

明かりが落ちて、

真っ暗な部屋に落ち着いた声が響く。

これが、社長の居ない一人っきりの時なら

きっと、パニックを起こしてたかも…

『ほら、怖いんだろ？
こっちに来ないのか？』

スマホの懐中電灯を点けながら

イタズラに微笑む社長に

いつもの強引さはない。

だけど、いつも以上に楽しんでるのが

全面に出た顔をしてる。

意地悪な社長の側になんか…。

「絶対に行きません」

強く宣言する私の言葉を後押しするように

部屋の明かりが戻った。

相変わらず真夜中の空には

稲光が光ってていて

油断できないことに変わりはないけど…。

「ヒヤッ！！」

『来るぞ、でっかいの』

はっきりとわかる程、派手に光った瞬間。

身構えるように耳を塞ぎ

閉じかけた視界に映ったのは…

『バーカ、雷が怖いくせに
意地張ってんじゃねぇよ』

傲慢だけど、優しい微笑。

そして、救いの手とは言いたくない

社長の大きな手が私を引き寄せた。

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