オレ様社長に恋をして (ページ25)

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25. 調教師ページ25

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「ちょっ、痛い、痛いって。
副社長には、優しく接してよ翔ちゃん。」

副社長が私の目の前から消えると

代わりに社長が私の目の前に立った。

社長に掴まれた腕を擦りながら

副社長はチラリと私を見て

後ろから大丈夫だよと

小さくサインを送ってくれる。

『…ヘンなことされてないだろうな？』

私の前方を塞いだ社長が

不機嫌な顔で聞いてきた。

目も声もさっきより

少しだけ優しくなってるけど

まだ迫力は十分。

そんな顔でジッと見つめられたら

怖いんですけど…

「はい、なにも…」

それどころか助け船をいただいてます。

なんて、とてもじゃないけど言えない。

「こんな獰猛な番犬がいたら
Aちゃんにはいい男も
よりつけないよね？」

クスクスと笑っている副社長の声が

社長の後ろから聞こえてくる。

社内では、

感情を滅多に表に出さない社長だけど

仲がいい副社長がたまに絡むと

その仮面も脆くなるようで……

『さっきから、大人しく聞いてれば
調子に乗りやがって
誰が番犬だって？
ガタガタうるせぇんだよ』

不機嫌もろだしの顔もさることながら

言葉遣いまで崩れてますけど…。

「怖いな～翔ちゃん。
ちょっとふざけただけなんだから…」

副社長がシクシクと泣きマネすると

大野さんがそんな副社長を抱きしめ

社長がため息を吐いた。

なんとなく、三人の位置関係が

少しだけ見えたような気がした。

「さて、俺にもお迎えが来たようだし
番犬に噛みつかれないうちに退散しますかね」

副社長の声に続くように

カツカツと床を打つヒールの音が

扉の前で止まると

ノックの音と共にドアが開いた。

「副社長、そろそろお戻りください」

副社長の秘書の紀子さんが

にっこり微笑んでる。

「コーヒー飲むくらいの時間は
まだあるでしょ？…」

「会議にお戻りいただけたら
すぐにご用意いたしますが」

「どうせならここで……」

「副社長。」

優しくいいきかすような口調と声。

だけど、なんだろう。

昨夜の紀子さんとは違う

オーラみたいなのを感じる。

「じゃあ、会議に出席しながら
コーヒーをいただこうかな…
というわけでまたね、Aちゃん」

すんなりと部屋から出ていく副社長と

社長に軽く一礼してその後ろに続く紀子さん。

「秘書というより、ニノの調教師だな」

社長がボソッと言った。

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