03. 王様と召使い ページ3
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はぁ…
なんで私が、秘書業務に就くの。
ホント、意味がわからない。
断れない雰囲気をビシビシ感じながら
それでも、一応きいてみる。
「秘書業務は、いつからでしょうか？」
「もちろん、今日から」
「えっ！今日からですか！！」
驚く私に副社長が聞いて来た。
「何がイヤなの？
秘書っていう仕事？
それとも、翔ちゃんが嫌いとか？」
ま、まさか
櫻井社長は、私の憧れの王子様です！
なーんて、答えられるわけもなく…
「イヤというより…、秘書のお仕事をお受けしても、うまくやれるかどうかわかりません。
ダメでした、やっぱりできません…
では関係する皆様に
ご迷惑をおかけすることになりますし…」
「なるほど。じゃあ、
イヤじゃないんだよね？」
副社長はそう言って、にっこりと微笑む。
だー、かー、らー。
社長のことが大好きだから
失敗して嫌われたくないの！
心の中で呟いていると
ふいに副社長の顔が近づいてきた。
「まぁ…Aちゃんがどんなこと言っても
断らせるつもりなんてないけど…」
甘く囁くような声で
副社長が私の耳元で、さらにこう言った。
「引っ越し先には、午前中のうちに荷物
運び込んでおいたから」
「へっ？引っ越しって、誰のです？？」
「Aちゃんに決まってるでしょうが」
「私の引っ越しですか！？」
待って、意味わかんない。
「翔ちゃんのとこ5LDKで、
ムダに部屋数あるのよ」
「……」
「あの人、ホント朝起きなくて、
さらに大野さんはその上をいくから
いつも私が翔ちゃんを起こす係なの」
「………」
「…で、副社長の私もそろそろ疲れて来たし
朝は、ゆっくりベッドで、
ぬくぬくシテいたいし…ね〜♪」
「ぬくぬく…ですか…」
「うん、だからお願いね？」
「…はい？」
「翔ちゃんの秘書業務お願いね？」
「……わかりました」
「わーい！俺も明日から、ゆっくり眠れるー！
やっぱり、Aちゃんは良い子だね〜♪」
アイドルみたいなスマイルで
私を見つめながら、最後にこうも言った。
「Aちゃん知ってる？
社長と秘書と書いて、
王様と召使いって読むんだよ」
口角をキュッと上げて
副社長が微笑んだ。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年12月7日 23時
