12. 彼女？ ページ12
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さっき、社長に「襲われるかも」と
勘違いした場面を思い出して
エレベーターが上がってくる間
恥ずかしさのあまり、地団太を踏みたくなる。
忘れろ、忘れろ〜！
さすが高層マンション。
エレベーターが上がって来るにも
時間がかかるよ…
エレベーターのドアが開くと同時に
急いで乗り込もうとして
降りる人にぶつかりそうになった。
「あ、ごめんなさいっ……！」
慌てて頭を下げた。
「あ……いえ」
ゆるく巻かれたミディアムヘアーが
似合う綺麗な人。
スカートから出てる足が長くてきれい。
あんな綺麗な人が、住んでいるんだ…
首を傾げながら、エレベーターに乗った。
……ん？
あれ？
あの最上階には、社長の部屋だけだよね…？
「……。」
思わず絶句。
えーーー！
ひょっとして、社長の彼女？！
なんか、モデルとか
女優系の美人さんだよーー！
動揺しながら
コンビニで買い物済ましたけど…
私完全に邪魔者だよね。
買い物袋を持ったまま
マンションを見上げた。
引っ越してきた最初の夜に
まさか社長の彼女さんに遭遇するとは
考えてなかったなぁ……。
社長…彼女居るんだ。
そりゃあ、社長みたいにいい男なら
彼女の一人や二人や三人…
いて当たり前かぁ…。
それなら、どうして
私を一緒に住まわせるんだろう。
彼女さんは、イヤに思わないのかなぁ…
いや、ちょっと待って。
もしかしたら……
もしかしたら、私を女と思ってないとか……？
ああ…そうか。
だって、二宮副社長言ってたもんなぁ…。
“社長と秘書と書いて、
王様と召使いって読む”って。
召使いは、女とみなされないのかぁ…
なんとも説明しづらい気持ちが
胸一杯に広がる。
「……。」
えっと……とりあえず今は
部屋には戻っちゃダメだ……よね。
召使いは、王様の邪魔はしちゃダメだ……
マンションのエントランスの
植え込みのかげにしゃがみこんで膝を抱えた。
「はぁ……」
なんだか急に疲れが押し寄せてきた。
今日は、意外と暖かい夜だなぁ…
眠くなってきた…かも。
ちょっとだけ、目を閉じてもいい…よね。
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作者名：ミイ
| 作成日時：2015年12月7日 23時
