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5.お話をしましょう ページ10

やっぱり広間とは言えない
広さの部屋に、
思いもよらない人物が座っていた。




一期「初めまして。私は一期一振、
粟田口吉光の手による唯一の太刀でございます」

A「ど、どうも…。よく存じております…」




聞いていた話と違う。
私が政府で弥生さんに聞いたのは、
「短刀しか確認できなかった」という言葉だ。

本人が自己紹介してくれた通り、
一期一振は太刀。短刀などではない、太刀なのだ。

何が短刀しか確認できなかっただ。
初っ端から出て来たのは太刀じゃないか。




一期「どうぞ、中に入ってお座りください」

A「では、お言葉に甘えて…」




ゆっくりと中に入り、
こんのすけも入った事を確認してから障子を閉める。
そして、おずおずと一期の前に座った。

目の前に座る一期は
真っ直ぐに私を見つめているのだが、
兄弟たちに見せるような優しい眼差しではない。

一期には似つかわしくなく、
眉間に皺を寄せていた…。




一期「単刀直入に申し上げます。この本丸から、
今すぐ出て行ってはいただけませんか?」




予想はついていた。
言われる相手以外は、だが…。

ブラック本丸にいる彼らは、基本的に人間不信だ。
自分たちのテリトリーに人間を入れたくない。
その心理はよく分かる。だが…。




A「申し訳ありませんが、それは出来かねます」




凛とした声で、はっきりと答える。
ここで狼狽えるような仕草を見せれば負けだ。

ピンと張りつめた空気と沈黙。
私と一期の視線は絡まったまま。

だがその沈黙も、
大きなため息と共に破られた。




一期「もう一度言います。この本丸から今すぐ…」

A「出て行きません。絶対に」




私の言葉が気に入らなかったのだろう。
一期の眉間がピクリと小さく跳ねた。
先程とは違う空気が一期を纏う。
怒っているのは明らかだ。

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作者名:まほろ | 作成日時:2020年3月19日 12時

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