３．前任について知りましょう ページ6
危険度１級本丸の審神者。
どんな人が審神者だったのかと
興味はあるが、
読むのが怖いというのが本音だ。
それでも資料を読まないという選択肢はない為、
私は気が重くなりながら
つらつらと書き連ねてある文章を読んでいく。
ブラック本丸の資料を読むのは、
何度やっても気持ちのいい物ではない。
彼らは刀だが、
人の姿をしているし感情だってある。
それを"物"としてしか見れない人の気持ちが
私には分からないのだ。
A「本丸には…、いないんですね」
弥生「うん。今は捜査部にいるよ」
弥生さんの言う【捜査部にいる】は、
私たちの世界で言う【警察に捕まっている】状態だ。
その審神者が本丸にいない事だけは
唯一ほっとできる箇所だろう。
審神者がまだいる本丸を請け負った事もあるが、
あれ程大変で面倒な事はない。
正直、あの状況の本丸は二度と請け負いたくない。
A「うーん…。やっぱり何度読んでも、
この人の心理を理解できない…」
弥生「理解はしなくていいんじゃないかな？
理解出来たら、それはそれで問題だと思うし」
そう言いながら、弥生さんは苦笑いを零す。
確かに理解出来てしまったら、
私も同じような道を歩む事になるんだろう。
理解、しない方がいいよね…？
したいとも思わないけど。
この本丸にいた審神者は、
簡単に言えばコレクター心を持った女性だった。
つまり、刀剣男士たちをフィギュアか何かと
勘違いしているんだ。
しかも報告書を読む限りでは、
その審神者にはもう一つ問題があった。
それは、自分の思い通りにならない場合、
暴力も
そんな人だったらしい。
この報告書に書かれているのは、
捜査部にて聞き取り調査された内容が大半。
本人から聞いた内容を簡潔に纏められた物だから、
どの程度のものなのかは分からない。
A「……どうせこの人も、
私の想像を超える事をしているんだろうな…」
弥生「大丈夫？
資料を読んだだけで疲れてるけど…」
A「大丈夫です。毎度の事ですから」
自分の思考と違うものを理解しようとするのは、
想像以上に疲れるんだ。
だって理解できないから、
頭をフル回転させるんだもん！
もう読むことを諦め、
溜息を吐きながら白い天井を見上げた。
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作者名：まほろ | 作成日時：2020年3月19日 12時
