２０．鶴丸国永の場合 ページ39
この場所に閉じ込められて
幾日だろうか。
たまに開く扉は、
審神者が折れた刀身を持ってくる時だけだ。
鶴丸「さすがの俺でも、
この中にずっといるというのはきついな…」
俺が持っている蝋燭も残り少ない。
消費しないよう暗闇の中にいれば、
いつ振りかに開かれる扉。
だがいつもと違うのは、
あの審神者の匂いではなく、
俺が待ち焦がれていた人の匂いが漂ってきた。
？？「早く調べたいのに、
これだけ暗くては…。困りましたね」
もしかしたら来てくれるのではないか
と思っていた。
あんな仕事を任せられているんだからと、
期待していたんだ。
しかしあの審神者の事だ。
どんな手を使って油断させてくるか分からない。
だが、この空間にいたのは…、
間違いなく待ち焦がれた真の主だった。
一期「鶴丸殿、着替えてはいかがですかな？」
鶴丸「え？あ、あぁ、そうだな」
弔いを見届けてすぐ、
一期一振に声を掛けられて部屋へと連れて行かれる。
そこは俺が使っていた部屋ってわけじゃないが、
俺の物が纏めて置かれている場所だった。
一期「あの方は、
本当に鶴丸殿たちが慕っていたお方なのですか？」
鶴丸「ああ。最後に会った時より
大人になってはいるが、俺たちの主に間違いない」
一期「……人間の成長は早いですからな。
そうですか、あれが…」
鶴丸「どうだ？あの審神者とは違うだろ？」
一期「まだ分からんのです。
確かに霊力は高く澄んでいますが、
あの方が主と同じ行いをしないと
断定は出来かねます」
一期も審神者にいい扱いをされなかった一人だ。
人間に対して不信感を抱くのも仕方ない。
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作者名：まほろ | 作成日時：2020年3月19日 12時
