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鶴丸「なぁ、主」
A「ん？」
鶴丸「ここが終わったら、また去ってしまうのか？」
急な問いかけに驚き、
屈めている腰を伸ばして鶴さんを見る。
鶴さんは作業する手を止めていなくて、
ちゃんと顔は見えなかったけど、
チラっと見えた鶴さんの表情は寂しそうだった。
私は異例の異動だったから、
専門審神者になる時に条件を付けて貰ったんだ。
専門審神者は１０年で辞める、と。
今年がその１０年目で、今は１１月。
この時期になってしまったのは予想外だったけど、
私の専門審神者はこの本丸で終わる。
今後の事なんて一切考えてなかった。
終わってから考えればいっかって思ってたから…。
私は、どうしたらいいんだろう…。
A「まだ、考えてない…」
鶴丸「考えてないって、どういう…」
A「私、ここが専門審神者最後の本丸なの。
だからここが終わったらどうするかは、
まだ考えてない」
鶴丸「審神者自体、辞める事もあるってことか？」
A「ううん、それは絶対にない。
私は死ぬまで審神者をやるつもりでいるし、
ここが終わったら
新しい本丸を作る事も出来ると思う」
掃除を再開しながらそう言えば、
鶴さんが私の肩を掴んで身体を引き上げる。
突然の出来事に驚きながら鶴さんを見上げれば、
今にも泣きそうな顔で私を見ていた。
鶴丸「だったら、
ここにいるという選択もありなんだろ？！」
A「え？た、たぶん…」
鶴丸「それならお願いだ…、ここに、いてくれ…」
いつも楽天的で飄々としているくせに、
なんつう顔してんのよ…。
確かに鶴さんの言う通り、
ここに残るという選択もありだと思う。
だけど、元は私の本丸ではないし、
何処が危険度１級なのかも分からないけど、
ここはブラック本丸だ。
……政府が、それを許可してくれるんだろうか…。
それでも鶴さんがそう言ってくれたのは、
とても嬉しかった。
A「後で政府に聞いてみるから、
そんな泣きそうな顔しないでよ。
もし政府からの許可が出たら、ちゃんと考えるから」
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ポンポンとなでれば、綺麗な白髪から埃が舞う。
……お風呂、入ってないのかよ。
地下にいて、結界で封印されていたんだから
お風呂になんて入れないんだけど、
出て来て着替えたのなら
お風呂に入っているものだと思っていた。
本当、鶴さんには驚かされてばかりだ。
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作者名：まほろ | 作成日時：2020年3月19日 12時
