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●〇●〇 ページ28

鶴丸「ここの審神者は、
俺たちがこの数珠を持っていた事が
気に入らなかったんだ。

顕現したのは自分だ。
自分の事を主と認めろとな…。
だが俺たち10振りにとっての主はただ一人。
A、おまえだけだ。
主が専門審神者だったから、いつかこの本丸にも
来てくれるんじゃないかと期待していた。

しかし、今剣と貞坊は
審神者によって折られてしまったし、
今剣を一人にさせるわけにはいかないと、
岩融は自ら折れる事を望んだ…。

その時に数珠は審神者の手によって壊された。
もう二度と、主を思い出させないためにな」




私は、なんて事をしてしまったんだろう…。
まさかこんな事になるなんて思わなくて、
ただ本当に彼等の幸せを願う為だけに渡した数珠が、
逆に彼等を苦しめてしまった…。

この数珠が無ければ、意図はなかったけれど
記憶を受け継ぐ事もなかったし、
前任の審神者に反感を買う事だって
なかったかもしれない。
折られたり折れる事だって、
なかったかもしれない…。

私は手に持った刀身をギュっと胸に押し当てる。




A「ごめん、ごめんね…。
最後の最後まで私は、
あなたたちを苦しめてしまった…。
本当に、ごめんなさい…。
お守りなんて渡さなければ…」

鶴丸「それは違うぞ主。
俺たちは主から貰った数珠と記憶だけが希望だった。
どれだけ審神者に虐げられようと、
辛い事があろうとも、いつか主に会えると。
……すまんな、3振りを守ってやれなくて…」

A「そんな事ない。
鶴さんたちは誰も悪くない…。
私がもっと早く来れていたら良かったんだ…。
本当に、ごめんなさい…」




折れた刀身が手に突き刺さる。
刺さった場所が痛いし、血が出ているのも分かる。
だけどそれを離せなかった。
だって、彼らはもっと
痛い思いや辛い思いをして来たのだから…。

鶴さんや一期がいると分かっていても、
大声を上げて泣いた。




鶴丸「主、血が出ているぞ。痛いだろう?
離してくれ」




鶴さんの暖かい手が私の手に重なる。
私が怪我をしているのが
見ていられないんだろうけど、
首を横に振って拒否する。

離したくないんだ。
この子たちは私を待っていてくれたのに、
私は折れる前に来てあげる事が出来なかった。

嗚咽を漏らしながら、
その端々に謝罪の言葉を口にしながら、
私はずっと折れた刀身を抱き締めていた。

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作者名:まほろ | 作成日時:2020年3月19日 12時

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