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こんのすけと言い合いをしながら
もう一度畳に手を掛けるが、
やはり畳はびくともしなかった。
そんな私を見て、
一期もその場に座って畳に手を掛ける。
一期「今は休戦、という事にしましょう。
この畳ですね」
その言葉に頷くと、
一期が力を入れて畳を上げようとしてくれる。
だが、太刀である一期でも
畳はびくともしなかった。
一期「動きませんね」
A「一期でも動かないとなると…、
これも結界…？」
薬研「結界だとしたら、えらく厳重だな」
A「そうですね…。
あ、厳重にする心理って、何か分かります？」
私の質問に４振りと１匹は首を横に振る。
右手の人差し指を立て、
私はまるで授業をするように語る。
A「まずは触らせたくないという心理。
その中でも見つけてほしくない物の場合、
鍵を掛けたり
誰かに見つからないよう厳重にする心理が働きます。
次に隠蔽したい心理。
そこには羞恥心や恐怖という感情が混じりますから、
だいたいの人は捨ててしまうけれど、
中には隠す人もいるんですよ」
あれだけ私に「出て行け」と凄んでいた４振りが、
面白いほど真剣に話を聞いてくれている。
それが何だか嬉しくて、
私の口は止まらなかった。
A「何だか話が長くなってしまいましたが、
二重の結界を張るぐらいですし、
かなり強い気持ちがある事は確かですね」
薬研「さっきみたいに、壊すのか？」
A「……ダメですか？」
薬研「い、いや…。
俺たちも知らなかったような場所だ。
何があるか分からないなと…」
A「……もしかして、心配してくれてます？」
薬研「ばっ！ち、ちがっ！」
そう言いながらも少しだけ頬を紅潮させて、
視線を逸らせている。
くっそぉ…、マジで可愛いなっ！
抱き締めてウリウリしたいわっ！！
だけどそんな事をしていい立場でもないし、
何より時間は有限なんだ。
やらなきゃいけない事はさっさと済ませたい。
変な衝動を抑え、
もう一度結界が張られた畳へと視線を落とす。
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作者名：まほろ | 作成日時：2020年3月19日 12時
