［新･光神話 パルテナの鏡］ 〜狂った王女〜

９　Side ?? ページ10

包丁を洗う手を止め、耳をすませる。


……ペタペタと、誰かの足音が聞こえる。
廊下のかなり近いトコを歩いてるな。

誰だ？
エレカとかか？

……いや、エレカもアロンも浮遊しているから足音はしないし、ロッカだったらもっと、こう……ゴロゴロ音がする筈だ。

ナチュレ様だったら私に月桂樹から一声掛けるだろうし、ブラピは……多分こんな所にわざわざ来ない。


……少年の声で、「神のドリンク」って聞こえた。
じゃあ真っ直ぐこの部屋に向かって来てるって事だよな……。

マジで誰だ。
来客の予定なんざ聞いてないんだがなぁ。


……もしかして、パルテナとか言うお得意様の遣い？

いやでも、今までわざわざ取りに来るなんて事は……。




なんて考えを巡らせていると、作業部屋のドアが軽快にノックされる。
正体不明の相手に、一応戸は開けずに返事をする。



??「……はい」

ピ「こんにちはー。神のドリンクの受け取りに来ました！」


快活な返事が返って来る。


…………ん？
この声、聞いた事あるような気が……。


……まぁ、気のせいだろ。

包丁をしまい、ドアノブに手を伸ばす。






……戸を開けると、そこには

もう会えないと思っていたアイツが立っていた。




ピ「あ……君は、あの時の!!」


相手の天使も目を見開き、大きな声を発する。

……聞いた事ある声だと思ったら、やっぱり知人だったんだな。



パ「？ 知り合いですか？」


問う女神に、過去と同じ澄んだ瞳をキラキラさせながら、少年……ピットは、答えた。


ピ「はい、彼女は……

シンです！」




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