ドーナツ4 ページ29
ドーナツ
「そろそろかなー」
散歩も飽きてきて屋上へと移動する。
いつもの扉を開けようとすると聞こえる怪しい笑い声。
「ねぇあまね」
聞き覚えのある声に嫌な予感がしておもいっきり扉を開ける。
「Aじゃん」
普から離れるとふわっと浮いて近づいてくるつかさ。
いつもと違い学生服姿の彼はほんとに、似ている。
出てきたは良いものの何も出来ることなく身動きが出来ない。
「あまねーAちょうだいよ。
その子いるからいいでしょ？」
甘えたような声が不気味さを増す。
ぐっと腕を取られると引っ張られる体。
普を見ると泣きそうな怖がっている表情。
「だから置いてかれるんだよ」
嘲笑うかのように普に近づくと頬を撫でるつかさに身動きが取れない普。
「花子くん！」
寧々が普を押し退けると水筒の中身をつかさにぶちまけるとかかった体が溶けだしていく。
「君 けっこーやるじゃん」
寧々を一瞥するとぐっと握られた腕に力が入る。そして屋上から放り投げるように捨てられる体。
「役に立たない子は捨てられるよ」
投げられる瞬間につかさの声が聞こえた。
幽霊に体重があるのか高すぎる屋上からは落ちる一方で死んでいるから死ぬことは無いけど急な衝撃は少し怖い。
「Aちゃん！」
屋上から見下ろすように柵から身を乗り出した寧々の姿を最後に意識は切れる。
＊＊＊
ふと目が覚めると自分の居場所。理科の実験用具室。
まわりにある薬品たちの匂いが少しホッとする。
「...んでどうするんですか？七番サマ」
土籠先生の声が隣から聞こえる。
最近自分の居場所の隣に土籠先生がいることを知った。先生は以前から知っていたみたいだけど。
「何かあったの？」
扉をすり抜けて先生と普の話に入る。
「ん...ちょっとね。
ヤシロがまた怪異に騙されそうなんだ」
淡々と話す姿は心ここにあらずで、悩みごとでもあるように見えた。
「手伝う？」
「大丈夫。ちょっと話したいこともあるし...」
つかさのことだろうか？少し辛そうに見える普の姿に"そっか"と言うと無理しないようにとだけ伝えて寧々を追う普を見送った。
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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (
レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります！体調気をつけて更新頑張ってください！ (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃炎 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/lampyridae/page/1/
作成日時：2020年2月9日 11時
