16時の書庫〈過去〉9 ページ15
16時の書庫〈過去〉
色々な物を試した。
色々な所に混ぜた。
一緒に口にするものには全て混ぜた。
きっとこんなことしてる私は普に相応しくない。
父親を殺した罪を背負うのが嫌だった。
そして私と一緒に居ることでどこか普に影響が出ることが怖かった。
頬に残った包丁の跡が脳にこびりついてた。
＊＊＊
「A最近顔色悪いよ？」
普が通学中に顔を近づけて言う。蝉の音がやたら煩くて気持ちが悪かった。
夏の日差しがジリジリと照りつける。
ふと気づいたら、しゃがみこんでいた。
「大丈夫？」
本当は"大丈夫"って答えなきゃいけないのに言葉を発したら全て出てしまいそうで怖い。
そういえば最近父親も寝込んでいることが多い。
朦朧とする意識の中、目の前が陰るのがわかる。うっすら目を開けると普がしゃがんで背中が見える。
「乗って」
静かにいう普に"ありがとう"って小さく呟くと背中に体を預ける。腕を首に持っていく力もなくダランとしている。
腕を丁寧に首もとに持っていくとゆっくりと立ち上がる。
「ごめんね。普」
何も言わない普の背中に頬をすりつけ最期の時間のように感触を、においを忘れないように記憶に焼き付ける。
学校につくと保健室に連れていく普。
「体調よくなるまで休んどきなよ」
「普...」
去ろうとする普の服をつまむ。
「この前言ったこと覚えてる？」
首を傾げる普に起き上がり"聞いて"とゆっくり話す。
「もしかしたらね遠いとこに行くかもって...
覚えてる？
そろそろね遠いとこに行くかもなの
迎えに来てくれるっていってたけど
普は幸せになってほしいの
だからね。今日で最後にしよ？」
出来るだけ笑顔で答えると普のほうを見る。
「どうゆうこと？」
怒っているのか泣きそうなのか解らない表情に追い討ちをかける。
「別れて欲しいの」
力強く否定をするように普の力に負けないように言葉を発する。
「な...なんで？俺は嫌だからね！」
まるで駄々をこねる子どものように涙を流していう普の頭を撫でる。
「ごめんなさい」
ただ呟くようにいうと"俺は別れないよ"言葉を絞り出すように普は撫でた手をはね除けて保健室から出ていった。
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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (
レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります！体調気をつけて更新頑張ってください！ (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃炎 | 作者ホームページ：http://nanos.jp/lampyridae/page/1/
作成日時：2020年2月9日 11時
