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16時の書庫〈現在〉7 ページ23

16時の書庫〈現在〉


「もうどこにも行かないって決めたから

あっでもAだけは迎えに行かないと

約束したんだ」

花子たちは寧々と土籠を見送って最深部の入り口で依代が壊れるのを待っている。
あの日のことを思い出したのはきっとAが自分の本を大切に腕の中に抱えていたからだろう。

「A、それ読んだの?」

本を指差しながらいう。

「読んだよ...なんていうか懐かしかったっていうには悲しいけど
花子との思い出がいっぱいあってタイムスリップした気分だったかな」

複雑に笑うAに言葉がかけられない。

「ちゃんと有言実行で迎えに来てくれたときは嬉しかったよ」

先程と違って本心の笑顔にどこか安心をする。
今でもどこかで傷ついてたりすると、またあの時のように俺を置いて消えちゃうんじゃないかって不安になる。

「最後にフラれちゃったけどねー」

不安を掻き消すように、おどけて悪態をついてみると慌てて"ごめん"なんて謝るAの姿に笑えてくる。

「あっ...」

Aが回りを見渡して声をもらす。ビシッとまるで、ひびが入ったような音とこの世界の力が消滅していくことが伝わる。

「ヤシロが依代を破壊したんだ」

崩れていく世界に少し寂しさを感じながらその光景をみていた。

***


光、花子との三人で寧々のもとへと向かう。少し先の扉が開いたかと思えば、土籠が出てきた。

「目を覚ましたぞ」

通りすぎ様に声をかけていく土籠。それを聞いた花子が"ほんと!?"と足音を立てながら保健室になだれ込んだいく。

「お前も苦労するな」

その様を見て溜め息混じりに土籠がAに話しかけると"そうですね"と小さく同意する。

「それほどまでに普にとって寧々ちゃんとの時間が大きくなっているんですよ。
本人は気付かないでしょうけど...」

淡々と話す姿に感情を感じさせない。

「おまえ...
一人で悩むのも大概にしろ。
七番様に言いにくいならオレのとこにでも相談にこいよ。
これでも一応お前らの先生だったんだならな」

手を頭に乗せて慰めるのは土籠の癖なのか、ふいに伸びる手を"ダメですよ"と言って制止させる。

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璃炎(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます。出来るだけ早く更新していけたらと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年3月7日 9時) (レス) id: 138083c01a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 続き気になります!体調気をつけて更新頑張ってください! (2020年3月7日 1時) (レス) id: fbc5b8317e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃炎 | 作者ホームページ:http://nanos.jp/lampyridae/page/1/  
作成日時:2020年2月9日 11時

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